合繊メーカー 20秋冬スポーツ商戦(下)/海外市場で販売拡大へ

2019年08月15日 (木曜日)

 国内市場だけを相手にしていては今後の成長を見込めないと、製品OEM/ODMビジネスも交えて海外市場で販売拡大を目指す機運が高まっている。

 クラレトレーディングはベトナムを中心とする海外生産拠点を駆使した取り組みで製品OEM/ODMの拡大に取り組み、2018年度(18年12月期)は過去最高の販売量を更新した。

 この間の受注増を踏まえ今春、ベトナム協力工場の生産体制を拡充。縫製、プリントそれぞれの生産能力を33%増強し6月に稼働させた。

 これまでは日本への持ち帰りが中心だったが、今後は対日以外のビジネス拡大を本格化。独自素材や現地生産する素材によるベトナム、中国オペレーションを強化し、19年度も過去最高の更新を計画する。

 帝人フロンティアは、「顧客ニーズに応じたサプライチェーンを構築できるかどうかがスポーツ素材の今後の拡販を左右する」とみる。

 この間、織物生産に比べ遅れ気味だったニットを海外生産する体制拡充を進めてきており、今後も中国やインドネシア、タイの拠点を活用したサプライチェーンの構築を推進。海外比率を当面、40%をめどに引き上げ、海外縫製する国内外のアパレルへの商流開拓につなげる。

 東洋紡は、アスレとゴルフでインドネシアの拠点を駆使したオペレーションに取り組んでいる。19年度(19年3月期)はニットのTMIをフルに活用。これまではアスレ素材を中心に生産してきたが、今後はスクール向けの商材や「Zシャツ」「Eシャツ」「Xジャケット」を加え、用途、アイテムの幅出しを図る。

 旭化成アドバンスは製品OEMの高度化を図るため昨年、アパレルソーシング部を発足させた。ミャンマー駐在員事務所を支店に昇格させ8人体制へと増強しており、独自性を発揮できる素材との一貫で同事業の充実・拡大に取り組んでいく。

 ユニチカトレーディングはインドネシアでの取り組みを重視する。ユニチカトレーディング・インドネシアとも連携し、現地協力工場で生産するポリエステル100%の織物、ニットを製品OEMにもつなげるビジネス拡大に力を入れている。

(おわり)