帝人フロンティア/バグフィルター向け拡販/発電所ねらいナノPPS

2019年09月03日 (火曜日)

 帝人フロンティアはポリエステルナノファイバー「ナノフロント」によるバグフィルターの開発・拡販に力を入れている。現在は石炭火力発電所で使われるバグフィルターをターゲットとするポリフェニレンサルファイド(PPS)ナノファイバーによるモノ作りに取り組み、2020年度(21年3月期)から現場での実地テストにこぎ着けたいと考える。

 同社の機能資材第二部フィルター製品課はバグフィルター、液体用カートリッジフィルターなどでの取り組みを17年度に立ち上げた。

 ナノフロント使いの商材を17年から投入し、中国・海南島の大手セメント会社で実地テストに着手。その後、他へも販路を広げ、昨年3月までで約2万本のバグフィルターを中国のセメント会社を中心とする7社92工場に納品した。

 耐熱性が要求されるセメントの焼成工程には極細のメタ系アラミド「コーネックス」で開発したバグフィルターを使って実地テストに取り組むほか、用途・販路拡大の一環としてPPS繊維も導入。中国の石炭火力発電所をターゲットとする商品開発を急ぐ。

 市中から調達するPPSによるフェルトと極細PPS不織布を複合した2層構造品の試作を繰り返しており、20年度からの実地テストを目指している。

 中国では環境規制がさらに強化されるに伴い、火力発電所で使われるバグフィルターに一層の高性能が求められるとみる。既存のPPSバグフィルターからの置き換えをにらみ、スペック確立を急ぐ考えで、インド市場の開拓にも意欲を示す。

 液体用カートリッジフィルターでは、自治体や企業が構える排水処理施設をターゲットにポリエステル、ナイロン、ポリプロピレンのいずれもナノファイバー使いで商品開発に取り組み、事業化にはなお時間がかかるとみる。

 先行するバグフィルターを今後も着実に浸透させたいとし、19年度は販売量を「前年比数倍に伸ばす」と、意欲的に拡販に取り組んでいる。