繊維ニュース

中部・北陸支社 開設10周年記念特集(2)/中部有力企業の戦略

2019年09月10日 (火曜日)

〈幅広い事業、変化に対応/美しいシルエット追求/タキヒヨー〉

 タキヒヨーは生地から製品までの幅広い事業を手掛ける。268年の歴史で培ったノウハウを生かし、時代の変化に柔軟な対応をしてきた。今後はパターンの見直しを進め、美しいシルエットの製品作りにこだわる。

 1751年に呉服商として創業して以来、常に信用や顧客を第一に考え、時代の変化に対応してきた。現在は製品の比率が高く、レディースからメンズ、ホームウエア、ベビーまでと取り扱いアイテムは多岐にわたる。

 パターンの見直しでは美しいシルエットの製品作りを進めるため、本社3人、東京3人というパタンナーの体制を3月に敷いた。デザイナーと密に連携が取れる環境にすることで、シルエットや着心地にこだわったモノ作りを目指す。

 以前まではパターン専門の関連会社と本社のデザイナーが連携していた。しかし関連会社の規模縮小や生産拠点が海外に移ったことで、一部のパターンを外注に任せるようになっていた。

 製品は順次投入していく予定で、パタンナー発信の企画を打ち出すことも計画する。この体制にしてから半年ほどたち、徐々に軌道に乗ってきた。パターンをよく知るデザイナーを育成していきたい考えだ。

 パタンナーの内製化に加え、サステイナブルチームも新設した。環境保護だけに捉われず、企業としての方向性を示す。

〈解決型ビジネス 指向/次代をにらんだ事業投資も/豊島〉

 豊島は既存ビジネスで、定評がある営業力の維持強化に努める一方、次の柱の育成にも積極的に取り組む。1841年創業という長い歴史の中で常に変化を続ける同社。次の柱の育成に向けてCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル・ファンド)を通じた事業投資や東京大学の生産技術研究所への寄付による「豊島ライフスタイル寄付研究部門」も新設する。

 原料から糸・テキスタイルと縫製品との連携強化も進める。綿花をはじめ繊維原料から綿糸、毛糸、合繊糸、テキスタイルを手掛けるが、縫製品と結び付けることは、昨今注視されるエコロジーやサステイナビリティー(持続可能性)にも連動する。

 同社は精製セルロース繊維「テンセル」リヨセルやオーガニックコットン「オーガビッツ」、廃棄食材を染料として活用する「フードテキスタイル」などにいち早く取り組む一方、CVCを通じて再生ポリエステル事業の日本環境設計(東京都千代田区)にも出資。こうしたサステイナブル(持続可能な)素材群を「MY WILL(マイ・ウィル)」との企業ステートメントとして展開している。

 社会的な潮流に事業を通して役割を果たすためソリューション型ビジネスを推進する同社。それはCVCや東大の寄付研究部門新設にも表れる。同時に社会奉仕活動にも積極的に取り組む。

〈発信力や供給力が強み/多様化の時代迅速に対応/瀧定名古屋〉

 瀧定名古屋は生地トレンドの発信力や備蓄力、製品の安定供給力などを強みに、多様化や変化の激しい時代へ迅速に対応する。これまで培った会社の歴史を生かしながら、より一層多様な人材の育成も進める。

 創業は1864年で150年以上の歴史を誇る。当初は呉服の卸商だったが、時代の変遷とともに事業を変え、現在は服地・アパレル製品の企画開発から仕入れ、生産、販売までを一貫して手掛ける。

 社内にはテキスタイルのプランナーから製品デザイナーやパタンナーが在籍しており、モノ作りにこだわりを持つ。国内の産地とも密接につながりを持ち、日本でのモノ作りを武器に海外販売も進めてきた。

 半面、調達や開発、生産は国内だけでなくグローバル化も推進。海外の各拠点にネットワークを築く。中でも縫製についてはいち早く中国に進出し、日本の生産や品質管理の手法を生かすことで、高品質な製品の安定供給につなげてきた。

 国内は人口減少で衣料市場の縮小が加速しているだけに、これまでの強みを生かしながら、輸出事業の拡大を目指す考えだ。

 組織体制では生地と製品の部署が完全に分離しているが、今後は部署を超えたチーム作りを一層推し進める。多様な人材を育成し、若い社員の活性化も図っていく方針だ。

〈原点の素材開発強化/持続可能性を各種展開/モリリン〉

 モリリンは2020年2月期、①新規販路の拡大と新規商材の開発②品質向上・生産背景の集約と見直し③海外市場の開拓――を重点課題に取り組んでいる。

 その中でサステイナビリティー(持続可能性)に重点を置いた素材、製品、仕組みの打ち出しにも力を入れる。今年6月に開催した「モリリン20春夏総合展」でもサステイナビリティーを前面にした打ち出しを行った。

 1662年、綿の仲買および綿糸・綿織物の販売として創業し350年以上。原点とも言える素材にこだわり、独自の素材開発に定評がある。それはサステイナビリティー素材も同様。エコ素材やトレーサビリティー(追跡可能性)の保証ルールを「モリリンエコスタンダード」として規定。それに基づき素材を社内外問わず積極的に「つかい、つくり、協業し、再利用する」循環型スキーム活用し推進する「モリリン・エコ・プロジェクト」に取り組んでいる。

 同社のエコ素材は長い歴史があり、しかもオーストリア・レンチングの素材、キュプラ繊維、オーガニックコットン、再生ポリエステル、原着ポリエステル、ポリ乳酸繊維など非常に幅広く展開する。素材だけではない。羽毛布団の下取り・回収・再生システムの展開や衣料品の廃棄問題にも着目したエアークローゼットとの協働によりアパレル廃棄問題解決の貢献も目指している。

〈ジャパンメードにこだわる/ミユキクオリティー再訴求/御幸毛織〉

 御幸毛織(名古屋市西区)は創業以来メード・イン・ジャパンにこだわり続けている。それは現在のモノ作りにも脈々と受け継がれており、今後は“ミユキクオリティー”の再訴求を進める。

 1905年創業の老舗メーカーで、18年に法人登記し会社を創立した。糸から織布、染色、縫製までの一貫したモノ作りは定評がある。最高級の原料を使った「ナポレナ」をはじめとした高品質な生地ブランドをそろえる。

 特に優れた縫製技術が強みで、国内3工場でオーダースーツに仕上げる。うちミユキソーイング長崎工場(長崎県西海市)はIACDE(国際衣服デザイナー・エグゼクティブ協会)からイージーオーダー部門の国内優秀縫製工場として最高評価の三つ星の認定を受けている。

 整理加工は三重県四日市市にある自社工場で手掛けており、良質な水と天然成分のせっけんを使い、柔らかみのある風合いを実現する。織布は同社専属の工場を10社ほど抱える。

 産地を守っていくのも同社の使命に掲げる。

 昨年4月には東洋紡テクノウールを吸収合併し、学生服などのユニフォームも手掛ける。子供から大人までのその人の人生をミユキの生地や服で包み込むようなモノ作りを目指すとしている。

〈早くから海外、新事業/機器、洗濯の周辺開拓/東海染工〉

 東海染工はいち早く海外生産と染色加工以外の事業に進出してきた。今後はその強みを生かして機器販売、洗濯、保育などの事業で新規開拓を強化し、周辺を広げ染色加工事業以外の売り上げ、利益の底上げを図る。

 同社は1941年設立だが、63年にはタイ、70年にインドネシアに進出したほか、濃度制御装置などの機器販売や保育サービス、リネンサプライ向けの洗濯事業なども手掛ける。こうした染色加工事業以外を国内外で広げる。

 機器販売は染色加工用を主力に同業他社へ販売するが、この技術を生かして、国内外の異業種への販売も強化する。これにもタイやインドネシアにいち早く進出した強みが生きる。さらに浜松事業所(浜松市)に導入済の水洗機の性能向上とデジタルによる品質管理をセットで国内外販売する。

 1日12トンの処理能力を持つ洗濯事業はコスト競争力の強化へバイオマスボイラーを導入する一方、繁閑差を埋めるため愛知県だけでなく、他府県へ領域を広げる。保育も愛知県が中心のため、他府県に進出する。

 テキスタイルや縫製品の販売も新規開拓に力を入れる。主力の染色加工事業は浜松事業所で液流染色機により合繊メーカーとの取り組みで複合素材を拡大、岐阜事業所(岐阜県羽島市)は婦人服向け中心から紳士服向けの拡大に取り組む。

〈産地密着型が強み/新ビジネスにも挑む/信友〉

 信友は産地密着型ビジネスに強みを持つ。1862年創業の繊維専門商社として、国内産地企業と“フェース・ツー・フェス”によりきめ細かなニーズに応えてきた。その強みを引き続き強化する一方、新たなビジネスモデルの構築にも挑む。

 新ビジネスモデルとして模索するのは海外販売。6年目を迎えたインドネシア子会社、シナトモ・インターナショナル・インドネシアも活用し、海外でのサプライチェーンを構築しながら、ASEANを中心とする海外への販売を強化する。もちろん、主力である国内産地製品や企画から入り込んだ産地製品の海外販売にも取り組む。

 これまでは名古屋、大阪、浜松、東京の拠点別だったが、糸、テキスタイル、縫製品の責任者を配置した。各責任者が海外も含めた新ビジネスを追求する。これを第1ステップとして、組織を組み直すことも視野に入れる。

 全体の約8割を占める糸、テキスタイル販売は定番品が主体となっているが、「売るモノ」を変えるともに「売り方」も変える。売るモノではメキシコ産ピマ綿「ソルピマ」やフェアトレードコットンなどもその一つで、こうした差別化品の発信に力を入れる。

 国内外とも基本は顧客ニーズをつかむこと。その面では一歩進んで取引ではなく、取り組みによる協業を追求する。

〈事業領域の拡大へ/非ファッション徐々に/ソトー〉

 ソトーは事業領域を徐々に拡大している。国内のファッション衣料向け毛織・編み物の染色整理加工が主体だったが、この数年、スポーツ、インナー、ユニフォーム、そして海外など領域拡大に取り組んできた。その成果が表れている。

 同社は1923年創業。グループに染色加工の日本化繊(愛知県一宮市)、織布・編み立てのソトージェイテック(岐阜県輪之内町)、テキスタイル販売のJファブリックインターナショナル(東京都渋谷区)、毛織物製造の兒玉毛織(愛知県津島市)、アパレルOEMのバーンズファクトリー(東京都板橋区)がある。

 グループ全体の国内ファッション衣料比率は3年前が約90%、残る10%もファッション衣料向けの輸出だったが、現在は国内ファッション衣料向けが80%弱。非ファッションをけん引する一つがスポーツウエア。海外で取り組み型ビジネスが進行中。伸ばす段階に来た。ユニフォームも、織物だけでなく編み地にも広げつつある。強みの風合い加工だけでなく、機能加工を施した展開にも力を入れる。

 染料をはじめとする原材料の高騰というコスト上昇に見舞われているが、同社は加工料金の改定に取り組むとともに、自助努力として「染色改革」と名付けたコスト削減を推進中。染色機の低浴比化の開発も進める。それは領域拡大にも結び付く。

〈インテリアをトータルに提案/企画やデザイン、開発に重点/サンゲツ〉

 サンゲツは壁紙から床材、カーテンなどをトータルに手掛ける総合インテリア商社。製造機能を持たないファブレス企業だからこそ、企画やデザイン、開発に重きを置いてきた。今後は海外市場の拡大に力を入れる。

 1849年に巻物や掛け軸、ふすま、びょうぶなどの表具を取り扱う「山月堂」として創業した。1953年に法人化し、その3年後には壁紙業界への参入を果たした。1980年ごろから、床材やカーテン事業にも着手し、トータルインテリア企業としての第一歩を踏み出した。

 その後、会社として規模を拡大させていく中、原動力となったのは強みでもある自社での企画やデザイン力。全てを丸投げせずに、企画や設計から携わることで仕入れ先と対等な関係を築くことが狙いの一つだ。

 さらに、ジャストインタイムの納品体制は40年前に既に構築しており、商品の安定供給を続けてきた。近年は物流体制を一層強化するため、ロジスティクスセンターの新設や統合なども進めている。

 今後はグローバル展開に目を向け、海外の子会社3拠点を軸に販売拡大を目指す。既にホテルやビルの内装に加え、一部のホームユース向けで実績もある。当面は世界で通用する日本仕様の商品を展開し、将来的には各国に合わせた現地仕様の商品も提案する。

〈解決策の提案に重点/次代見据えIoT活用/ブラザー工業〉

 ブラザー工業は2018年に創業110周年を迎えた。プリンター・複合機から産業機器まで幅広くグローバルに生産販売する同社だが、その技術基盤となった祖業が工業用ミシン。そして他の事業の技術も取り入れながら、工業用ミシンも常に進化する。その最たるものが、15年に発売した電子送り本縫ダイレクトドライブ自動糸切りミシン「ネクシオS―7300A」をはじめとする次世代型ミシン「ネクシオ」シリーズになる。

 ネクシオシリーズには水平方向の布送り機構を世界で初めて電子化した「デジフレックスフィード」(DFF)を採用。①針折れ防止②トラブル削減による生産性向上③素材に合わせた糸締りによる高い縫製品質――などを実現するほか、モノのインターネット(IoT)対応で生産管理の効率化も図ることができる。

 同社はこうした工業用ミシンの開発にとどまらず、生産性向上など多様なニーズに対するソリューション提供に重点を置く。次代を見据えてIoTを活用した「縫製ラインの見える化」もその一つ。ネクシオシリーズは専用アクセサリーを取り付けるだけで無線ネットワーク化。クラウドサーバーにデータを吸い上げ、現場の見える化が可能になる。1台から始められ、必要に応じて接続台数を増やせるため、最低限のシステム構成で導入しやすいメリットがある。

〈JYF/日本最大級の糸の展示会〉

 「ジャパン・ヤーン・フェア」(JYF)は商社や紡績、合繊、意匠撚糸メーカーに加え、染色整理加工企業、繊維関連機器取扱企業などが出展する、日本最大級の糸の展示商談会。

 目的は川中企業が集積する尾州産地で情報発信や提案の場を設けることで、高付加価値のモノ作りの創出を支援し活性化につなげる。これまでに16回開かれ、来年2月に17回目が愛知県一宮市で開催される。

 併催の総合展「ザ・尾州」では「ジャパン・テキスタイル・コンテスト」の優秀作品展などを開く。

〈BME/尾州の生地が一堂に〉

 「ビシュウ・マテリアル・エキシビション(BME)」には毛織物を中心とした尾州産地の生地が一堂に会する。春夏、秋冬のシーズンに合わせ年2回東京で開催する。

 尾州産地の力を結集して販路開拓を目指すのが目的。最新のファッショントレンドを捉えた、付加価値の高いモノ作りを強みに、各社が開発したクオリティーの高い生地を広く発信する。

 今年も10月9日から、東京都港区のテピアで開かれる。出展企業は前回と同じく16社。「ビシュウ・ヤーン・フェア」も併催する。

〈テックスビジョンミカワ/歴史ある展示会、今年65回目〉

 三河産地の総合展示会「テックスビジョンミカワ」は、今年で65回目を数える歴史を持つ。産地の連帯強化や市場ニーズに対応した高付加価値商品の開発推進などを目的に開催している。

 蒲郡市や蒲郡商工会議所、三河の繊維関係の各組合で構成する開催委員会が主催。三河の繊維企業が出展する各社紹介のほか、地元の子供たちによる繊維を使ったアイデア作品展や製品即売会なども開き、三河を“繊維の街”として地元にPRする。今年は11月15、16日に開催する。

〈遠州織物コレクション/個性派企業が集う展示会〉

 遠州産地のモノ作りは国内外から高い評価を得ており、規模は小さいながらも個性派の企業が多い。展示会「遠州織物コレクション」ではそんな企業が作る生地が並ぶ。

 今年は2月21、22日に東京都渋谷区の文化ファションインキュベーションで開催。13社1団体が出展し、綿の高密度織物や麻織物、細番手のブロードなど多様な生地を提案した。

 遠州の伝統技術である浜松注染染め実演・体験会のほか、遠州の生地デザイナーなどのクリエーターも特別出展した。