担当者に聞く ユニフォーム最前線(6)/ユニチカトレーディング ユニフォーム営業部長 新居 康司 氏/機能と環境対応を柱に

2019年10月24日 (木曜日)

  ――ユニフォーム業界の現況は。

 2019年度(19年4月~20年3月)は前半が比較的順調でしたが、8、9月に入ってから勢いがなくなってきました。米国と中国の貿易摩擦が激化しているほか、日本と韓国の問題もあって企業業績が悪化していることが要因です。モデルチェンジが活発で、好調だった1年前と比べると大きな差が生じています。

  ――そのような状況下で上半期の業績は。

 期後半に陰りは見えましたが、結果的に前年同期並みの水準で推移し、計画した数字には到達できる見込みです。伸びているのはワークウエア分野です。製造業を中心にモデルチェンジが目立ったほか、ユニフォームのカジュアル化によって新需要も生まれました。

 サービス分野も堅調に動いていますが、その一方でスクール分野は少子化の影響を受けて苦戦しました。オフィス分野も大型案件がなく、勢いを欠いています。

 素材別では、汎用性の高い物から高機能まで多様な製品を扱っているため一概には言えませんが、酷暑対策生地や高ストレッチ生地などは順調でした。

  ――下半期に向けての戦略は。

 厳しい環境が続くと予想しています。そのような中で自分たちが持っている強みを打ち出して存在感を発揮したいと考えています。われわれはメーカー機能を持っており、素材開発を加速すると同時に、安定生産・安定供給を図ります。さらに品質保証まで一貫でできるのがその強みです。

 それを生かすためにもユニチカテキスタイルの常盤工場、ポリエステルを製造する日本エステル、染色加工の大阪染工、繊維製品の検査・評価を行うユニチカガーメンテックとの取り組み深化は不可欠です。安定生産・安定供給の観点から、北陸をはじめとする国内産地との連携もさらに強化します。

  ――素材開発の話が出ましたが、どこにポイントを置いていますか。

 機能と環境です。ユニチカトレーディングは、環境配慮型ポリエステル素材の冠ブランド「エコフレンドリー」を全社で展開していますが、ユニフォームでも積極提案します。再生ポリエステルで異型断面糸や2成分構造糸が生産でき、エコフレンドリーのクーリング素材の開発も進めている段階です。

  ――今後の課題は。

 業界の活性化につなげるためにも高機能素材や環境対応素材は必要です。芯部に再生ポリエステルを配した複重層構造紡績糸「パルパーエコ」や海洋プラスチックごみ問題に対応する断熱保温素材「エアーホールド―NB」なども持っており、高視認と組み合わせて付加価値を高めます。