旭化成の中国繊維事業/成長減速も市場の重要性は不変

2019年10月30日 (水曜日)

 【上海支局】「数年前のピーク時に比べるとボリュームは10~15%下がっている感じだが、価値ある素材の引き合いは堅調。市場としての重要性に変わりはない」。旭化成の工藤幸四郎常務執行役員・パフォーマンスプロダクツ事業本部長は27日、北京で中国繊維ビジネスの現状について語った。

 需要増の鈍化が顕著なのは紙おむつ用スパンボンド不織布とエアバッグ用ナイロン66「レオナ」。スパンボンド不織布は既存顧客である日系おむつメーカーとの取り組み深耕に加え、商品高度化を進める地場メーカーへの働き掛けを強める。レオナは10月から回復の兆しが出ているという。

 フェースマスク需要に陰りが出ているキュプラ不織布「ベンリーゼ」はワイピングなど別用途開拓に力を入れる。スパンデックス「ロイカ」は紙おむつ用途でスパンボンド不織布に先んじて地場メーカーに採用されている。

 キュプラ繊維「ベンベルグ」はアウター用、裏地用ともに、一時の勢いはないものの、需要は高級ブランドを中心に底堅い。

 買収手続きが完了して約1年の米自動車内装材大手セージ・オートモティブ・インテリアズは1カ月以上続いた自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)のストライキの影響が避けられないが、8月に3号機が稼働した人工皮革「ラムース」供給は順調に推移している。4号機も21年度下半期に宮崎県延岡市で立ち上がるが、5号機は海外で「人工皮革需要が安定している欧州の可能性が高い」と言う。