進化し、深化する糸 北陸ヤーンフェア19レビュー(3)/環境をベースに差別化

2019年10月31日 (木曜日)

 合繊メーカーはサステイナビリティー(持続可能性)の流れに沿い、環境配慮型素材を広く提案した。環境配慮をベースに差別化を図る動きも進んでいる。

 旭化成アドバンスは、環境配慮型素材と繊維資材を紹介した。環境配慮型素材ではキュプラ繊維「ベンベルグ」のほか、ドイツや中国のレーヨン長繊維、米国のジアセテートなどを提案した。レーヨン長繊維はFSC(森林認証)を取得した企業製のみを扱う。ジアセテートはイーストマンケミカルの「ナイア」を展示し、ベンベルグとの組み合わせやPTT繊維「ソロテックス」混など糸や生地での複合を訴求した。丸編みで販売しているが、今後は織物用も視野に入れる。

 繊維資材では、PTT繊維のモノフィラメント、それを使用した3次元立体編み物「フュージョン」などを披露した。北陸産地で生産するフュージョンは寝具で伸びており、敷パッドの製品展開もネット通販で初めている。

 ユニチカトレーディングはリサイクル、生分解性、バイオマスなど環境配慮型素材を総合的に見せた。ケミカルリサイクル「エコフレンドリー」では、他のリサイクル素材との差別化のため、異型断面や2成分糸などの開発も進める。

 生分解性では、注目が高まるPLA「テラマック」、バイオマス素材としては非食物であるヒマの種子を原料としたナイロン繊維「キャストロン」を紹介した。

 このほか、サイドバイサイド型ポリエステル糸「Z10」では新商品としてシック&シンタイプを加えるなど商品幅を広げた。

 クラレトレーディングはサステイナブル素材として、再生ポリエステル「クララペット」、バイオポリエステル「バイオスペース」などを展示した。ポリエステル長繊維事業全体で差別化糸を軸にしているのと同じく、サステイナブル素材でも特殊糸を展開していく方向。環境をベースにカチオン可染やミクロクレーター、極細繊維、異型断面などでの開発を進めている。

 このほか、独自素材としてエラストマーを繊維化した衝撃・振動吸収繊維「スパンドール」などを打ち出していた。