旭化成「ロイカ」/中国アパレル開拓を強化/広州に専任販売担当駐在

2019年12月09日 (月曜日)

 旭化成はスパンデックス「ロイカ」の中国アパレル向け販売を強化する。その一環で広東省広州市に、ロイカ専任の販売担当を9月から駐在させた。香港以外で中国にロイカの担当者を置くのは初めて。芳賀伸一郎ロイカ事業部長は「中国アパレルは中国にはないスパンデックスを求めている。特に機能糸への反応が良い」と手応えを示し、中国アパレル向けの拡大に期待感を示す。

 ロイカは日本、中国、台湾、タイ、ドイツの世界5拠点で生産するが、海外販売比率は80%。この内、香港経由を除いた中国向けは15%にとどまるが「重要な市場」と位置付ける。これまで中国への販売は欧米への製品輸出に使うテキスタイルに向けた販売が主体だったが「中国アパレルの開発マインドは旺盛で、高価格品であっても受け入れられる」と分析。これを踏まえ、今年9月の「インターテキスタイル上海秋」への出展を再開しており、今後も継続する。

 中国アパレルへの販売は20年秋冬向けからなるが、高伸度低モジュラスが特徴の「ロイカHS」や消臭性能を持つ「ロイカCF」など「今まであまり評価されていなかった機能糸への引き合いが強い」。工場内で発生した繊維くずなどを原料とし「GRS」認証も取得する再生スパンデックス「ロイカEF」に対しても引き合いが強いと言う。

 一方、全体の20%を占める欧州向けはロイカEFや、分解性ポリマー使いなどサステイナビリティー(持続可能性)対応を訴求しながら、ブランド認知度を引き続き高める。「今年に入って欧州アパレルから、ロイカのタグを製品に付けたいとの声が出始めている」とブランドの浸透には手応えを示す。

 ロイカEF、分解性ポリマー使いは現在、独子会社の旭化成スパンデックス〈ヨーロッパ〉で生産するが、日本やタイ子会社でも生産を検討する。