旭化成 応用製品営業部/固液分離フィルター拡販/ナノMB軸に需要取り込む

2019年12月11日 (水曜日)

 旭化成の不織布事業部応用製品営業部は、固液分離フィルターの販売拡大に力を入れる。液液(油水)分離を主力としてきたが、市場規模の大きい固液分離分野に伸び代を求める。後発になるが、ナノレベルのメルトブロー(MB)不織布を使った高性能フィルターシステム「ユーテックナノ」を軸に追い上げる。

 ユーテックは、極細繊維径MB不織布、柱状流不織布などを組み合わせたフィルターシステム。石油精製品の製造などで油水を分離する燃料分野、石油化学品や誘導品生産プロセス中の油水分離が中心の化学品分野、各種洗浄工程の油水分離を行う部品洗浄分野を主用途としてきた。

 液液分離フィルター「ユーテックFS」をメイン商材に、固液分離の「ユーテックMF」、気液分離の「ユーテックVF」をそろえる。固液分離フィルターは電子材料や医療・医薬、飲料などの産業で使われ、国内市場は年間数百億円規模(液液分離はその10分の1程度)とされ、より大きな商売が見込める。

 ユーテックMFの中でも、ナノレベルのMB不織布を使ったユーテックナノを全面に打ち出し、需要を取り込む。繊維はポリプロピレン(PP)などを使い、低圧損や長寿命、高精度・高捕集といった特徴を持っている。微小ゲル除去フィルターやサブミクロン分級フィルターなどを用意している。

 強みは自社でフィルター用の不織布を作っていること。「繊維径や厚み、空隙率などが自在にコントロールできる。顧客の要望に応じてカスタマイズが可能」と強調する。ユーテックナノは採用が増えており、「2021年度には固液分離を液液分離に続く柱にする」と話す。