クラボウ/工場集約で集中投資/海外子会社は“自立”推進

2020年02月20日 (木曜日)

 クラボウの繊維事業は2020年度(21年3月期)の重点戦略に事業モデルの転換を掲げる。環境負荷低減商品の拡大や“モノ提案からコト提案”への転換、共創型ビジネスの拡大、生産プロセスの高度化に取り組み、事業環境の変化に対応する。国内工場も再編することで集中的な投資を実施する。

 繊維事業部長である北畠篤取締役兼常務執行役員は苦戦が続く繊維事業に関して「消費構造の変化、環境問題やSDGs(持続可能な開発目標)への意識の高まり、デジタル技術の発達など環境が大きく変化している」と指摘。これに合わせて事業構造を転換する必要性を強調する。

 このため環境配慮やSDGsに向けて綿素材の生分解性を打ち出すとともに、裁断くずを原料に再利用する「ループラス」の拡大を進め、単純な“モノ提案”ではない“コト提案”の充実を図る。熱中症対策スマートウエア「スマートフィット」などユーザーと共同で価値創出する共創型ビジネスを引き続き強化する。

 生産プロセスの高度化にも取り組む。現在、テキスタイルイノベーションセンター(愛知県安城市)と紡績・織布の安城工場(同)でスマートファクトリー化の設備投資を実施している。3月末で紡績の丸亀工場(香川県丸亀市)の操業を停止し、設備の一部を安城工場に移設する。「国内の紡織設備を集約することで、スマートファクトリー化などで集中投資が可能になる」と話す。

 一方、グローバル戦略の加速も重点戦略に掲げ、海外子会社の“自立”を推進する。独自の素材開発と販売の拡大に取り組む。タイ子会社のタイ・クラボウを中心にインドネシア子会社のクマテックス、ベトナム子会社のクラボウ・ベトナムなどが連携し、東南アジア各地の縫製企業へのテキスタイル販売拡大を目指す。