混迷の時代を進む メーカー系商社のいま(6)/ユニチカトレーディング/エコ素材で輸出を伸ばす

2020年03月09日 (月曜日)

 ユニチカトレーディングはケミカルリサイクルやマテリアルリサイクルで生産するポリエステルを「エコフレンドリー」ブランドに統合しプロモートするブランド戦略に力を入れている。

 中でも、ケミカルリサイクルで生産するポリエステル長繊維で差別化糸、高機能糸の商品ライン拡充を急いでおり、スポーツ向けに用意するノンコート撥水(はっすい)織物「タフレックス」、持続撥水織物「タクティーム」の販売を先行させる。

 ユニフォームでは、タクティーム、タフレックスのほか複重層糸「パルパーエコ」、軽量「エアロール」、クーリング「サラクール」などのバリエーションを構える。

 瀧定名古屋が20春夏展からエコフレンドリーによる素材群を打ち出しており、今後も両社共同で婦人服地としての販促に取り組んでいく。

 エコフレンドリーを用途横断型の戦略素材へと育成し、今後3年をかけてポリエステル長繊維全体に占める比率を25~30%に拡大。「いずれは50%台に乗せたい」と商品開発、販路開拓に意欲を見せる。

 エコ素材を充実させる一環として、植物由来の原料で開発したフッ素フリーの撥水加工「バイオメカ」、非可食植物のヒマ(唐胡麻)を原料に生産するナイロン11「キャストロン」、フリース代替素材「エアーホールドNB」などもそろえる。

 エコ素材による企画提案で輸出市場へのアプローチにも着手。「A+A」展や「パフォーマンス・デイズ」への出展でユニフォームやスポーツ分野で新規顧客を開拓している。昨年11月にドイツで開かれたパフォーマンス・デイズにはタフレックス、タクティームを出展。ピックアップしたアウトドア系の顧客に着分の見本を送り商談を始めている。

 同社は2019年度で中期3カ年計画の最終年度を迎えており、この間、インドネシア、ベトナムに構える現地法人との連携を通じて海外テキスタイル生産の体制を拡充してきた。

 現在、重視するのがベトナムの充実で、ハノイの現地法人による取り組みを強化。外注拠点による生地から縫製に至る一貫体制を構築しつつある。ホーチミンには技術系のスタッフを置き、ベトナムで生地を開発する体制を固めつつあり、20年度以降これらを業績拡大に貢献させる。