東洋紡/課題解決型の事業体に/21年年初からエアバッグ新工場

2020年04月15日 (水曜日)

 東洋紡は2020年度から中期4カ年計画の後半戦を迎えており、今年度は環境配慮型素材の開発・販売を強化するとともに、同社の強みに位置付けるエアバッグやスーパー繊維といった領域での取り組みに力を入れる。エアバッグでは21年年初から新工場を稼働させる。

 同社は4月1日付けの組織改正で、これまでの5本部を「フイルム・機能マテリアル」「モビリティ」「生活・環境」「ライフサイエンス」の4ソリューション本部体制に再編した。顧客や社会の課題解決に貢献する「ソリューション提供型の取り組みを社内に浸透させる」(楢原誠慈社長)ため。

 モビリティソリューション本部を「一つの目玉」に位置付けており、これまではエアバッグ、エンプラの各部門が別々に顧客にアプローチしていたのを、両部門を同本部傘下に配置することで情報共有、共同開発を促進するとともに、本部が一体となって自動車や航空機、鉄道といった領域で新規需要を掘り起こす。

 タイのインドラマグループとは合弁でエアバッグ用ナイロン66の新工場をタイに建設することにしている。新型コロナウイルス感染拡大の影響で調印式が遅れているものの、遅くとも2021年の年初から試作糸の生産を始める。

 衣料繊維事業では、環境配慮型の素材を伸ばすとともに、ドレスシャツやスクールシャツ向けの販売が好調な「Zシャツ」のような独自素材のラインアップを充実させる。苦戦が続く「エクスラン」(アクリル)では、好調なアクリレート繊維とのセットで現状の事業規模を維持したい考えだ。