東洋紡STC/海外拠点ネットワーク化/ソリューション提案型を志向

2020年04月17日 (金曜日)

 東洋紡STCは2020年度、18年度から開始した中期4カ年計画の後半戦に突入しており、今年度は海外工場を有機的に連携させるグローバルオペレーションを前進させるとともに環境配慮型素材での取り組みに力を入れる。組織改正を検討しており、早ければ下半期からソリューション提案型の組織に再編する。

 同社によると、中計2年目の19年度、第3四半期まで業績は順調だったものの、新型コロナウイルスの感染拡大によって減速へと転じ、通期業績は「ほぼ前年並みに落ち着く」(田保高幸社長)見通しとなった。

 20年度はスポーツ、ユニフォームを中心にインドネシアやベトナムに展開する海外生産拠点のネットワーク化を通じ開発、販促を強化し海外市場での拡販を計画する。

 大手流通との連携で、店頭で回収したペットボトルから再生ポリエステル「エコールクラブ」を生産し、ユニフォーム向けに販売する取り組みに着手。現在は新型コロナ禍でブレーキがかかっているものの、20年度後半から販促ワークを本格化させる。

 ユニフォームでは、モデルチェンジする企業別注で大型案件を取れたといい、20年度後半からこのビジネスが販売増に寄与してくるとの手応えを示している。

 新型コロナ禍で抗ウイルス素材「ヴァイアブロック」をマスク用不織布に使いたいとの引き合いが急増している。抗ウイルス「ナノバリアー」、除菌「銀世界」も注目されていると言い、20年度はこれらの拡販にも力を入れていく。

 同社は新会社として発足後、13年目を迎えている。選択と集中を進めてきた結果、体質強化が進む一方、組織間に壁ができてしまったという。

 この壁を取り払うとともに従来の素材型からソリューション提案型へ転換するための組織改正を計画。早ければ下半期から新組織へ移行する。

 既に、あるユーザーから素材だけでなく梱包(こんぽう)材をセットで提案してほしいとの要望があり、繊維、フィルム両部門の営業マンが連携してユーザー対応を進めるような取り組みを強化している。グループトータルの商材で「ユーザーの課題を解決できるようなメーカー型商社を目指す」としている。