マレーシアの日系繊維企業/一部で稼働再開/活動制限令は12日まで延長

2020年05月01日 (金曜日)

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため3月18日から民間企業や学校を閉鎖する全土封鎖措置が取られていたマレーシア。日系繊維企業も工場の操業停止など影響が出ていたが、ようやく一部で再稼働の動きが出てきた。

 マレーシア政府は3月16日に活動制限令を発令し、3月31日まで移動制限のほか、スーパーや公共交通機関、銀行、医療機関などを除く民間企業や学校を閉鎖するなど事実上の全土封鎖措置を取った。3月31日以降も措置が延長され、現在は5月12日まで制限措置が続けられる。

 ただ、3月31日以降は活動制限令の適用除外対象が徐々に拡大されており、これに合わせて一部の企業活動も再開されつつある。操業を停止していた日系繊維企業も適用除外品の生産を中心に稼働を再開している。

 東レはペナン州に紡織加工のペンファブリック(PAB)やポリエステル短繊維製造のペンファイバー(PFR)などグループ会社6社を持つ。PABは3月17日の夜勤から操業を停止していたが、病院制服用素材を生産しているため操業許可を得て3月31日から再稼働した。PFRも3月18日から操業を停止したが、活動制限令の適用除外品として生産継続承認を受けたため3月27日から再稼働した。

 ペラ州にある東洋紡の紡績・織布子会社、東洋紡テキスタイル〈マレーシア〉も3月18日から操業を停止していたが、4月20日に当局から操業許可が下り、23日から再稼働している。

 カネカはパハン州に合繊製造のカネカイノベイティブファイバーズなど子会社6社がある。こちらも詳細は明らかにしないものの当局の許可を得て稼働を再開しており、取引先への出荷などで問題も生じていない。

 ただ、依然として活動制限令による出社人数制限など規制が続いているため、各社とも完全な再稼働には至っていない。引き続き当局の感染防止対策指導に従いながら操業を続けることになる。