ユニチカ/22年度で1470億円・110億円/長期ビジョン・中計を策定

2020年05月15日 (金曜日)

 ユニチカはこのほど2030年ごろを見据えた長期ビジョン「G―STEP30」、20年度から22年度までの新しい中期3カ年計画「G―STEP30 1st」を策定した。これらの実践を通じ、22年度に売上高1470億円、営業利益110億円へグループ業績を引き上げる。22年度計画には新型コロナウイルス禍がもたらす20年度以降の影響は含まれていない。

 20年度以降も、前中計で掲げたグロース(事業成長戦略の推進)、グローバル(グローバル事業展開の強化・推進)、ガバナンス(グループガバナンスの強化)の3Gをテーマに掲げ、ステップを積み重ねながらの実現を目指す。

 新中計では、強固な事業ポートフォリオの構築、グローバル事業展開の推進、社内風土・意識改革――に重点化。サステイナビリティーの推進、グローバル生産体制の構築、アライアンス等による販売力強化、リスクマネジメントの再構築などに力を入れていく。

 繊維事業で、エコ・環境配慮型素材の開発・拡販を強化するとともに、産業繊維ではポリマーや紡糸技術を組み合わせた高付加価値品を充実させる。不織布ではグローバル販売網を拡充し、欧米、アジア向けを伸ばす。

 前中計で208億円の設備投資を行っており、新中計では234億円に増やす。104億円だった研究開発費を111億円に拡大する。現状で20%の海外売上高比率を22年度で28%、30年度で35%に、18%の自己資本比率を順に23%、30%にそれぞれ引き上げる。

〈特損計上で純損失に〉

 ユニチカの20年3月期連結は売上高1195億円(前期比7・4%減)、営業利益54億円(32・9%減)、経常利益31億円(55・5%減)、純損失21億円(52億円の利益)となった。

 当期は売上総利益率を前期の22・7%から22・9%に改善したものの減収、販管費増で営業減益に。減損損失、訴訟損失引当金繰入額など50億円弱の特損を計上したため当期損失を強いられた。

 繊維ではスポーツ、レディス、寝装などの苦戦、ポリエステル短繊維や複合繊維が低調に推移したため5・6%の減収。前期の営業黒字(1億円)から赤字(5億円)に転落した。

 不織布では、生活資材向けのスパンボンドは堅調だったものの建材、海外が伸び悩んだ。インバウンド需要の減少などでスパンレースも低調だった。

 新型コロナウィルス感染症拡大による影響を見通しにくいことから20年度の通期業績予想を未定とした。