クラボウインターナショナル/素材からの一貫提案加速/中国の再活用も鍵

2020年08月28日 (金曜日)

 クラボウインターナショナルは、アジアの縫製オペレーションで、中国の再活用、現地スタッフの育成強化、クラボウグループとの連携による素材からの一貫提案体制構築に力を入れる。

 同社は現状、中国、インドネシア、ベトナム、バングラデシュなどで縫製品OEM/ODMを展開している。近年は中国からベトナムやバングラデシュへのシフトが進んでいたが、西澤厚彦社長は「新型コロナウイルス禍で状況がやや変わった」と指摘、中国の再活用に取り組む考えを示す。日本市場の低迷が続く中、アパレルからは小口、短納期要求が強まる。この対応には東南・南アジアよりも中国が適しているためだ。

 インドネシアには唯一の海外自家縫製工場であるAKMガーメントがある。新型コロナ禍で稼働率が落ちていることを受け、今後は最低賃金の安い地域の外注工場での生産比率を上げ、コスト低減に努める。同工場には「それぞれの工程のプロがいる」。その人材を活用して外注工場への技術指導を強め、品質を高める考えだ。

 ベトナムでは、クラボウの現地法人、クラボウ・ベトナムとの連携を強化する。一昨年の設立後に同法人がデニムやパンツ地、丸編み地などを同国で生産する体制を整えたことが背景。日本やタイのクラボウグループが生産する糸、生地と併せ、素材からの一貫提案体制を構築し、高まりを見せるベトナム国内一貫生産需要を取り込んでいく。

 今春以降、新型コロナ感染拡大を背景に対日縫製品輸出が急減するバングラデシュでは、労働争議や新型コロナ禍の影響を大きく受ける首都、ダッカではなく、チッタゴンに事務所を構えていることから「堅調な工場稼働」を続けている。今後も現地工場との関係性強化などで受注増を目指す。

 各国の現地スタッフの育成強化にも取り組んでおり、幹部登用や研修制度などを今後も続ける。現地スタッフの育成を進めることで、中長期の方針であるアジア各国への内販、輸出につなげる考え。