ユニチカ 不織布事業部/販売量回復に手応え/高付加価値品・コスメで拡販

2020年08月28日 (金曜日)

 ユニチカ・不織布事業部は2020年度、前年を上回る販売量の確保に手応えを強めている。新型コロナウイルス禍による市況低迷が6月で底を打ち7月以降、緩やかな回復基調に転じたと見ており、20年度はスパンボンド、スパンレース双方を再び拡大基調へと転換する。

 19年度は米中貿易摩擦や冷夏に伴うスパンレース「コットエース」での苦戦、終盤戦で見舞われた新型コロナ禍などの影響で「不織布事業の業績はもう一つだった」(吉村哲也上席執行役員機能資材事業副本部長兼不織布事業部長)と話す。

 20年度は6月に自動車や建築資材などで新型コロナ禍の影響を大きく受けたものの、それ以降、業種、ユーザー間の状況はまちまちながら「全体的にはモノが動き出した」と言う。

 スパンボンド、スパンレース双方の販売量を「反転させられる」との手応えを示しており、スパンボンドではプラスアルファを加えた高付加価値品で拡販を計画。スパンレースではユーザーからの引き合いが強まっているというコスメティック用途のハイエンドゾーンでの取り組みに重点化する。

 スパンボンドでは、新型コロナ禍で引き合いが増えている防ダニ、消臭、抗ウイルス各タイプを重点的に投入。国産のマスクやガウンを備蓄していこうとの機運が高まる中、関連業界や自治体への販促を改めて強める。

 タイ・タスコではカーペット基布、土木、建材の3用途を主力に展開しており、今後は新規用途に位置付ける自動車関連資材や防護服などを掘り起こし、早急にフル稼働させたい考えだ。

 20年度は制汗シート向けなどに展開するコットエースの販売が好転しており、引き続きコスメティック関連用途での取り組みに重点化し、成長路線を維持する。

 コンクリートの高品質化、構造物の長寿命化に貢献するというコンクリート湿潤養生シート「アクアパック」の市場浸透も重視しており、2~3年かけて大型素材への育成を目指す。