東洋紡「ブレスエアー」/20年度は過去最高を更新/倍増設に意欲

2020年09月01日 (火曜日)

 東洋紡が展開するクッション材「ブレスエアー」の販売が好調に推移する。巣ごもり需要の増大に伴いテレビショッピングなどを経由したマットレス向けの販売が急増し、2020年度は「過去最高の販売量を更新できる」(西山重雄専務執行役員生活・環境ソリューション本部長)との手応えを示している。

 同社は18年9月の火災で敦賀事業所第二に構えるブレスエアーの設備を焼失させたが、昨年秋に新設備を導入し量産を開始した。

 ブレスエアーは熱可塑性ポリエステルエラストマー「ペルプレン」をインスタントラーメン状に絡ませたクッション材。通気性、クッション性、透水性、耐久性(へたりにくい)などが特徴。簡単に洗うことができ、すぐに乾くため、清潔な状態を容易に保つことができる。

 敦賀事業所には生産性を向上させた新設備を導入。増速を実施するとともに今後は広幅化も検討する。防ダニなどの機能性を付与する開発も進めている。

 巣ごもり需要の増大に伴い、ここに来て販売量が増えてきた。主力のマットレスでの販促を改めて強化するとともに、介護施設や病院などの販路開拓にも意欲を示す。

 水洗いができてすぐに乾く性能をPRするため現在、マレーシアの医療機関で実地テストに取り組み、東南アジアでの販促にも近々、乗り出していく。

 7月にデビューしたJR東海新幹線の最新鋭車両・N700Sのシートにはブレスエアーが採用され、最近は民間の電鉄会社からも引き合いが相次いでいるという。

 東洋紡はオートバイのシート材などへの用途拡大にも力を入れている。今後の拡販をにらみ来年春からのスタートを目指し生産設備の倍増設を検討し始めた。