東洋紡 生活・環境ソリューション本部/3本柱で攻勢/25年度めどに50%伸ばす

2020年09月02日 (水曜日)

 東洋紡の生活・環境ソリューション本部は2020年度、3本柱に位置付ける不織布やフィルター、機能資材による開発、企画提案に重点的に取り組む。快適な生活環境づくりに貢献する商材の販売を伸ばし、25年度をめどに本部年商を1・5倍規模に引き上げる。

 同社は4月1日付の組織改正で同本部を発足させた。不織布、フィルターや分離膜、スーパー繊維などの機能資材、衣料繊維を販売しており、年商は18年度で1100億円規模という。

 快適な生活環境作りに貢献する商材の販売を重視。「不織布、フィルター・分離膜、機能資材の3本柱で攻めの経営を強化」(西山重雄専務執行役員同本部長)し、25年度をめどに年商を50%伸ばす。

 不織布では、メルトブロー、スパンボンドなどで展開する静電フィルター「エリトロン」が大手空調メーカーに採用されるなど販売は好調に推移しており、マスク関連用途や事務機器メーカーへのアプローチにも力を入れ本部の柱商材に育成する。

 主力のスパンボンドは新型コロナウイルス禍に伴い苦戦に転じている。巻き返しへ例年、土木資材などで需要がピークを迎える年度後半に向けて作り込みを進めている。

 機能資材では「ブレスエアー」の販売が急増しており、20年度は「過去最高を更新できる」見通しとなった。最新鋭の新幹線・N700S系のシート材に採用されている。全社横断型で取り組む車室空間向上プロジェクトを通じ、ブレスエアーによるカーシートへの参入にも意欲を示している。来年春からのスタートを目指し、生産設備の倍増設を計画する。

 中国企業とはPPS繊維「プロコン」で連携を進めており、新型コロナ禍で遅れが生じているものの来年明けから中国でのOEM生産を立ち上げる。

 フィルター・分離膜では、これまでは別々だった組織を統合し一体運営ができる体制へと再編。排水処理や海水淡水化、大気汚染対策を検討する国内外のユーザーにオール東洋紡によるソリューション提案を強化するとともに既存ユーザーに対する補修サービスにも乗り出していく。

 衣料繊維事業は苦戦を続けている。高機能ニット「Zシャツ」で巣ごもり需要の開拓を進めるとともに、引き合いが増えている抗ウイルス素材「ナノバリアー」の拡販を計画する。