東洋紡STC/強い事業をさらに強く/中東輸出下半期から回復

2020年10月06日 (火曜日)

 東洋紡STCは自社の強みに位置付けるユニフォームや中東輸出、ニットシャツなどに経営資源を重点的に投入し、引き続き競争力強化に取り組む。新型コロナウイルス感染拡大に伴い引き合いを集める「ナノバリアー」などで販促に取り組み、ユニフォームやメディカル用途での普及・浸透を目指す。

 新型コロナ禍による市況低迷により各事業間で強弱が表れてきており、ユニフォームや中東輸出、高機能ニットシャツ「Zシャツ」などの強みに位置付ける事業に経営資源を重点的に投入する一方、苦戦する事業ではコストダウンなどを徹底し、強い事業への人員シフトなども検討する。

 ユニフォームでは、製品OEMもリンクさせた拡大戦略を考えているほか、企業別注を中心に「エコールクラブ・バイオ」のような環境配慮型素材の普及・浸透を目指す。

 中東輸出については、最悪期を脱したと見ており、最後の指図が相次いでいることから、「下半期だけで19年度並の販売量に回復させられる」(田保高幸社長)との手応えを示している。

 新型コロナ禍による在宅勤務の普及、巣ごもり需要の発生が後押ししZシャツの販売好調が続いており、引き続き新規用途、新規販路の開拓で拡販を計画する。

 新型コロナ禍に伴い販売が急増している抗ウイルス素材「ナノバリアー」や「ヴァイアブロック」でも販促を改めて強化し、ユニフォームやメディカル分野に浸透させたい考えだ。

 エクスラン(アクリル短繊維)事業は苦戦を続けており、アンチダンピングで低空飛行が続く対中輸出では「当面、事態を静観する」構え。アクリレート繊維は20年度も好調を続けており、今後も商品開発、企画提案を強化し一層の拡販を目指す。

 非繊維事業では、液晶パネル向けに展開する工業用フィルムが「今も足りない状況が続く」と言い、引き続き巣ごもり需要などの開拓に力を入れていく。