スパンデックスメーカー/再生糸拡大に傾斜/拠点ユーザーとの連携強化

2020年10月30日 (金曜日)

 スパンデックスを展開する旭化成、東レ・オペロンテックス。2020年度上半期は一方の柱用途である紙おむつ向けに影響は見られなかったものの、新型コロナウイルス禍に伴いアパレル向けの販売で苦戦を強いられた。両社がここに来て力を入れているのは再生タイプのスパンデックス。欧米を中心に強まっているニーズに応えていく。主力ユーザーとは高機能糸による共闘を徹底し、ユーザー側の拡販を「側面から支援していきたい」(旭化成)としている。(堤 貴一)

 旭化成はかねてプルミエール・ヴィジョンやアンテルフィリエール、イスポといった海外の展示会で再生タイプのスパンデックス「ロイカEF」の出展を重ねてきた。

 「エコ・スマート」ブランドで打ち出し、ユーザー開拓を促進。ロイカEFではGRS(グローバル・リサイクル・スタンダード)認証を取得している。

 これまではドイツ工場(旭化成スパンデックス・ヨーロッパ)で生産してきたが、21年3月からタイ工場(タイ旭化成スパンデックス)と守山工場でも量産に着手。22年の年初からは台湾工場(台塑旭弾性繊維股¥文字(U+4EFD))にも広げ、世界4極でグローバルなユーザー対応を強化しロイカEFの市場浸透を目指す。

 東レ・オペロンテックスは「技術も設備もあるのに、これまでは出遅れていた」との認識を示しており、今後は「ライクラ」リサイクル糸の開発を改めて強化。他社とは異なる「独自性のある再生糸の開発に重点化」し、早急にラインアップしたい考えだ。

 苦戦するアパレル向けでは、インナー・肌着用途での引き合いが強い消臭タイプの拡販に意欲を示し、消臭性能を引き上げた新タイプを21春夏から投入する。

 旭化成は消臭「ロイカCF」を構えており、新型コロナ禍に伴い、4極の拠点ユーザーが展開するマスク向けの販売が好調と言う。新タイプの開発にも着手しており、「衛生に配慮したロイカをいずれ完成させる」。

 東レ・オペロンテックスは4月から新しい中期計画に着手しており、引き続き数量を追わずに特品(=高機能糸)拡大を志向。消臭タイプやソフトストレッチの拡販を通じ、業績回復を図る。

 旭化成は下半期、拠点ユーザーとの連携を改めて強化し、スピード感をもった開発、製品の共同企画を通じ側面からのユーザー支援に取り組む。中国でも同様の取り組みを推進。業績好調なネット通販向けアパレルへのアプローチを強化し、新規販路を掘り起こす。