クローズアップ/ユニチカ サステナブル推進室長 西村 弘 氏/「フォー・ジ・アース」を旗頭に

2020年11月24日 (火曜日)

 ケミカルリサイクルで生産するフィルムやポリエステル、生分解性ポリマーなど多彩な環境配慮型素材を構えるユニチカグループ。SDGs(持続可能な開発目標)経営をもっと前面に押し立てていくために今年7月、サステナブル推進室を立ち上げた。初代室長に就任した西村弘氏に抱負、戦略を聞いた。

  ――多くの環境配慮型素材を展開する。

 生分解性素材「テラマック」、植物由来のナイロン樹脂「ゼコット」、ケミカルリサイクルによるポリエステル「エコフレンドリー」、植物由来のポリエステルを複合する「パルパーソロナ」、ケミカルリサイクルによるフィルム「エンブレットCE」や「エンブレムCE」などをそろえています。これらを総合的に売り込んでいくとともに、SDGs経営を打ち出していくためにサステナブル推進室を発足させました。

  ――「テラマック」の近況は。

 新型コロナウイルス禍で販売数量は減り気味ですが、付加価値品へのシフトで利益を伸ばしています。輸出を中心とするティーバッグ向けのモノフィラメントが好調で、今後はどのエリアに重点化していくか、どういうパートナーと連携していくのかを模索しながら世界戦略に力を入れていきます。要尺の大きな新規アイテムを掘り起こすことが課題でもあります。

  ――フィルムへの引き合いが急増している。

 食品包装用フィルムのコンバーターさんがSDGsを強く意識し始めており、エンブレットCE、エンブレムCEが注目されています。このフィルムを使えば前者で27%、後者で38%それぞれCO2の発生を抑制できるというのも売りの一つです。食品用途に展開するには衛生面での品質管理がかなり重要になってきます。現在はわれわれが管理できる、工場で発生したフィルムくずを再利用しています。今後は使用済みのフィルムを再利用するポストコンシューマーに踏み込めるかどうかが課題になります。

  ――「エコフレンドリー」の状況は。

 ユニチカトレ―ディングがあらゆる用途を対象に販促をかけており、アフターコロナの到来とともにある程度の形が見えてくるでしょう。

  ――中期的な目標は。

 定量的な売り上げ目標などを検討しており近々、中期展望を公表できると思います。流通とのタイアップも検討中です。環境配慮型素材を「フォー・ジ・アース」ブランドにくくり、もっと大々的に打ち出していきます。