旭化成/二つの視点でサステ対応深化/水素社会の到来にも視線

2020年12月02日 (水曜日)

 旭化成は、サステイナビリティーへの対応を深める。気候危機(地球温暖化など)や新型コロナウイルス禍で持続可能性に対する要求が強まったと捉え、「人と地球の未来を想う」という観点で取り組みを加速する。カーボン・ニュートラルや新常態での“生き生きとしたくらし”の実現を目指す。

 小堀秀毅社長は「新型コロナ禍などが世界レベルでの大きな“地殻変動”をもたらし、産業構造が大きく変わった」と説明する。地球環境保全、人の命と健康への貢献は不可欠な要素とし「ケア・フォー・アース」「ケア・フォー・ピープル」の二つの視点でサステイナビリティーへの取り組みを推進する。

 ケア・フォー・アースではカーボン・ニュートラルによって持続可能な世界を実現する。中期経営計画で掲げている温室効果ガス(GHG)の削減(2030年度に13年度比35%低減)を着実に進めるとともに、自動車関連や住生活、都市インフラなどの事業で環境貢献製品の提案を強める。

 50年に向けては、世界最大級(10メガワット級)のアルカリ水電解システム「福島水素エネルギー研究フィールド」で水素社会の到来の背中を押す。CO2の分離・回収、CO2ケミストリー(CO2を原料として活用)を開発・展開する。

 ケア・フォー・ピープルではニューノーマル下における生き生きとした暮らしを現実化する。新型コロナ禍への対応における貢献では人工呼吸器やウイルス除去フィルターの増強・増産を図り、医療用ガウンやマスクの素材供給を強化する。そのほか、高齢化社会への貢献、従業員が活躍できる基盤づくりにも力を入れる。

〈「ベンベルグ」でウェブ展/植物系のエレガンス素材発信〉

 旭化成のベンベルグ事業部は「2021~22秋冬ベンベルグ・アウター・コレクション」を11月30日から来年1月29日の期間でベンベルグのウェブサイトで開催する(URLはhttps://www.asahi-kasei.co.jp/fibers/bamberg/)。

 コンセプトに“ニューノーマル、ニューパラダイム”を掲げ、「社会全体が劇的に変化する中、新たな価値観でフレキシブルに切り開いていく」とのメッセージを発信する。

 打ち出し素材コーナーには、グリーンインスパイアード、エキストラオーディナリーの2コーナーを設ける。

 前者では、植物系のスマート・エレガンス素材を打ち出す。光沢やドレープを持たせた美しい質感の素材、グラフィカルなジャカード、ハイブリッド素材による実験的な質感が特徴の素材などを構える。

 後者は少しおしゃれなリラックスウエア向けの素材群。体を包み込むようなやすらぎ感を持たせた素材、動きやすく型崩れしにくい素材など極上の着心地をもたらす2マイルウエア素材を提案する。

 このほか、メンズコーナー、横編みコーナー、ベンベルグのサステイナビリティーを訴求するエンバイロメントコーナー、生地コーナーを設け、21秋冬向けの戦略素材群を出展する。

 エンバイロメントコーナーでは、環境負荷低減を実現したベンベルグのストーンウオッシュ加工「ベルティーン・エボ」を紹介。

 加工プロセスの改善で現在のバッチ式から連続式に転換する開発を進めており、21年度から国内で、22年度からイタリア、トルコ、ポルトガルでの量産を立ち上げる。

 同展には、アゲハラベルベット、エイガールズ、ソトージェイテック、帝人フロンティアDG、中伝毛織、福井経編興業、宮田毛織工業など32社が協力している。