旭化成アドバンス/車両やエコを重点分野に/繊維資材の拡大に注力

2020年12月08日 (火曜日)

 旭化成アドバンスの繊維事業は「車両」「防災」「安全」「ヘルスケア」「エコ」を重点分野に位置付ける。特に資材を伸ばす方針で、衣料は新しい取り組みで売り上げ維持を狙う。橋本薫取締役専務執行役員繊維本部長は「マーケットが縮小している分野は適正規模とし、重点分野を徹底的に伸ばしていく」と話す。

 今上半期は繊維資材が過去最高益となった一方、衣料繊維が苦戦した。繊維資材は既存分野が底堅く推移するとともにマスクや防護服などの特需があり、前期の年間利益を上半期だけで超えた。衣料繊維は6月から苦戦し、ユニフォームは落ち込みが少なかったものの、裏地やアウター、インナー、レッグ、スポーツなどが苦戦した。

 今後は車両、防災、安全、ヘルスケア、エコなどを重点分野に拡大を狙う。特に資材に注力し、不織布だけでなく織・編み物も伸ばす。衣料繊維は商品や販売形態を変えながら新しい市場に対応していく考えで、「強みであるテキスタイルの開発を強化し、製品と連動しながら原料からの一貫ビジネスを追求していく」とする。裏地やレッグなど市場の縮小が予想される分野は適正規模に縮小し、重点分野に経営資源を再配置する方向で組織も変えていく。

 重点分野のうちエコでは、環境配慮型素材の総合ブランド「エコセンサー」が好調に推移する。再生ポリエステルやナイロンだけでなく、天然素材も含めて注目が高まっていると言う。スポーツが先行したが、アウターやインナーなどでも新たな案件が増えており、今後は「ベンベルグ」やジアセテートを主力素材にさらなる拡大を狙う。

 ジアセテートは今期の糸販売量が前年比50%増となる見通しで、来期はさらに伸ばす。糸販売に加えてベンベルグ×ジアセテートの織・編み物などテキスタイルの開発も進んでおり、日本向けは21春夏、中国や欧州は22春夏向けから大きく伸ばす。