クローズアップ/旭化成アドバンス 繊維資材事業部長 石川 智 氏/車両資材を伸ばす

2020年12月09日 (水曜日)

 自動車用エアバッグを中心とする車両資材事業の強化に取り組む旭化成アドバンス。旭化成グループは全社を挙げてモビリティー関連事業の拡大を進めており、新型コロナウイルス禍で衣料繊維事業が大打撃を被る中、繊維資材事業に求められる役割は大きい。4月1日付で繊維資材事業部長に就任した石川智氏に近況を聞いた。

  ――赴任がだいぶ遅れたのでは。

 4月1日付の人事でしたが、新型コロナ禍の影響で9月にずれ込みました。上海から帰国後、成田で2週間隔離されたため、出社は9月15日になってしまいました。

  ――新型コロナ禍の影響は。

 4~6月期からマイナスの影響が出始めましたが、8月を底に回復に転じています。当部はエアバッグ包材や車両内装材、エアバッグ縫製に取り組んでいますが、上半期は前年同期比で20~30%減にとどまりました。

  ――エアバッグ縫製でベトナムに進出しました。

 本来ならば今年の2~3月ごろにスタートさせる予定でしたが、現地のロックダウン(都市封鎖)で後れを来し、工場が本格的に動き始めたのは8月からです。第1期の年産250万個体制を2022年度でフル稼働させる計画です。

  ――エアバッグ需要の今後の伸びは。

 当初は20年度から25年度にかけて自動車生産の伸び率を大きく上回る20~30%くらいで市場拡大が続くとみていました。しかし、新型コロナ禍による影響を踏まえ、現在は情報を取り直し今後について精査しています。フロンタルセンターエアバッグや歩行者保護用など搭載部位が広がり装着個数が増えていくことで今後も市場は順調に伸びていくとみています。

  ――縫製に参入したメリットは。

 エアバッグメーカーに直接売り込みにいくことでさまざまな情報が入ってくるようになりました。ティア1との接点がどんどん広がっています。これらを起点に、エアバッグだけでなく車両内装材トータルを強化していこうと考えています。

  ――さまざまな商材を構えている。

 詳しいことはお話しできませんが、ドイツの旭化成ヨーロッパと協業している案件、米国セージと連携する案件などが進行中です。耐炎繊維「ラスタン」、立体編み物「フュージョン」でも車両資材をターゲットとする開発を強化しています。エアバッグの拡大、ラムース部門との協業、内装材トータルの拡販に重点的に取り組んでいきます。