この人に聞く/「ブルーレーベル・クレストブリッジ」のディレクターに就任したデザイナー/江角 泰俊 氏/百貨店で目立つ存在に

2020年12月15日 (火曜日)

 三陽商会の基幹ブランド「ブルーレーベル・クレストブリッジ」を21春夏シーズンから監修するファッションデザイナーの江角泰俊氏。次シーズンには紳士服の「ブラックレーベル・クレストブリッジ」の企画もディレクションし、その責任はさらに大きくなる。両ブランドを合わせ、130店舗以上という大型ブランドをどう変えるのか。戦略の具体策や企画のポイントを聞いた。

  ――就任に至った経緯については。

 今年2月に三陽商会から話があり、前任のデザイナーが任期満了になるので次にお願いできないかと。このブランドを知っていたので、とても光栄な話だった。契約やデザイン面など詰めの部分は外出自粛の期間と重なったが、電話、オンラインで連絡を取りながら、こうして新商品を発表することができた。

  ――ブランドをどう変えるのか。

 以前からブルーレーベル・クレストブリッジは、若くてかわいらしいというイメージがあった。英国モチーフの正統派ブランドで、トレンチコートに強みがあることも分かっていた。しかし、百貨店に数あるトレンチコートの中で差別化することや、常に面白いコトを行っているイメージを消費者に認知させたい。

  ――具体的には。

 チェック柄の配色や部分使いで新しいアイデアがある。アーティストとの協業やファッション感度を高めたコレクションラインの投入、機能性を重視した商品なども増やしたい。会員制交流サイト(SNS)でブランドのストーリーを伝えることも大切だ。現在は商品やスタイリングの情報発信がメインで、購入を促す理由付けができていない。SNSをフル活用し、消費者との距離を縮めたい。

  ――ブランドの将来像については。

 若い年代に加え、30~40代も着用できるブランドに昇華させる。そのためにはデザイン性はもちろん、(主販路の)百貨店で目立つ存在にならなければいけない。クレストブリッジが消費者からどう見られているのか。商品の同質化に陥っていないか。ブランドイメージや店装の監修も必要であれば進めたい。仕事自体が大きなミッションだが、三陽商会のブランドに対する姿勢や生産背景を見ると、到達できると信じている。