三陽商会 大江伸治社長/「再生プラン」達成へ自信/構造改革が想定以上に進捗

2020年12月24日 (木曜日)

 三陽商会の大江伸治社長は今年4月に発表した「再生プラン」について、「2022年2月期には営業黒字化を達成できる。在庫削減、販管費の圧縮も想定以上に進んでいる」と自信を示した。さらに「今は準備段階」としながらも、黒字化後の成長戦略を描く社内タスクフォースを立ち上げたことも明らかにした。

 再生プランの進捗(しんちょく)については、今期(21年2月期)を黒字化達成への移行期と捉え、新型コロナウイルス感染拡大のダメージコントロールと事業構造改革を同時に進めている。商品仕入れを抑制したほか、MD精度を高める施策も実行し「在庫を積み増す従来の三陽モデルから脱却した」としている。

 在庫については、来年2月末の時点で約33億円減少する見込み(20年2月末との比較)。「昨年2月には130億円を超える在庫があったものの、粛々と処理を進めた」と説明する。20年3~11月期における粗利益率も改善し、需給バランスも適正化へ向かっている。

 販管費の圧縮は想定よりも大幅に進捗。今期は50億円を削減できる見通しだ。具体的には不採算だった約150店舗を閉鎖するほか、閉鎖に伴う人件費や店舗関連費、宣伝費も相対的に減る見込み。同氏は「現場と危機感を共有することができた。工夫や努力で大幅な圧縮が可能になった」とする。

 成長に向けた社内タスクフォースについては、事業構造改革の延長線上という考え方で「奇をてらうことはしない」とした。同社がターゲットにするミドルアッパー市場の将来性をリサーチし、市場が求める価値と既存ブランドを照らし合わせる作業を進めている。

 事業構造改革を進めたことで損益分岐点をクリアするブランドも出現。その上で「新規事業を考察する。あくまでも既存ブランドのブラッシュアップが先決」と話す。規模よりも個性を重視したブランド施策を念頭に若手、中堅社員と活発な意見交換を重ねている。

 新規に開設した直営店「ポール・スチュアート青山本店」「ブルーレーベル/ブラックレーベル・クレストブリッジ原宿本店」など、直営事業の強化によるブランドイメージ向上も成果として強調した。元々あるブランド資産を生かし、成功体験を他ブランドにも反映させる。