東レ 不織布・人工皮革事業部門/早急に巡航速度に/中計中に「アクスター」を増産

2021年01月21日 (木曜日)

 東レの不織布・人工皮革事業部門は紙おむつのトップゾーンでシェアアップを目指した販促を改めて強化するとともに、「ウルトラスエード」ではエコ素材の拡販に重点的に取り組み、21年度の早いタイミングで部門全体を巡航速度へと回復させる。

 東レは20年度から新しい中期経営課題をスタートさせており、初年度は新型コロナウイルス禍に伴い目標との大きな乖離(かいり)が発生したという。

 ウルトラスエード事業では、主力のカーシート向けで苦戦を強いられたものの、7~9月期から販売は回復し「中国の電気自動車や北米向けを伸ばしかなり挽回させることができた」(西村誠不織布・人工皮革事業部門長)。

 紙おむつ向けのポリプロピレン(PP)スパンボンドでは、量産開始の時期に遅れを来していたものの、中国・仏山のTPFは昨年春以降、フル操業へと転じた。昨年の春のスタート予定が新型コロナ禍で遅れていたインドのTIDは10月から動き出し、ここでは垂直的フル操業を実現したという。

 この間、新型コロナ禍に対応するため、マスク用で月産1億枚(製品換算)体制を構築しマスク向けの販売を強化してきた。しかし、ここに来てマスクの市況に落ち着きが見られることから、先行きを注視しつつ実需に見合った生産・販売を徹底する。

 PPスパンボンドでは、引き続きトップゾーンでの取り組みを強化しシェアアップを計画。ソフト感を引き上げた新タイプの市場浸透に力を入れていく。

 東レは集塵(じん)機用フィルター向けにポリエステルスパンボンド「アクスター」を展開しており、中期課題の期間中に増産投資を計画。PLAのスパンボンド「エコディア」では新規用途の掘り起こしを改めて強化し拡大戦略を本格化する。

 ウルトラスエードでは、中国や北米向けカーシート素材の販売復調に伴い「下半期からほぼ巡航速度に戻せた」と言う。既に全体の50%前後を占める再生ポリエステル使いや部分バイオポリエステル使いのエコタイプを打ち出すとともに、厚さ2・7㍉の新タイプで天然皮革では商品化が困難なバッグ、シューズ、衣料用途を掘り起こす。