東洋紡 不織布事業開発部/二つの新素材開発/水平連携の効果を追求

2021年02月17日 (水曜日)

 東洋紡は不織布事業でグループ内の水平連携を本格化させ、新規商材の開発、新規販路の掘り起こしのための取り組みに力を入れている。このほどポリエステルスパンボンドを軸とする「サウンドブロックネオ」、「エアリア」という2新素材を開発。4月から販売を開始するとともに第3、第4の新素材開発を急ぐ。

 東洋紡は2019年4月に新設の不織布拡大戦略部をスタートさせて以降、20年4月に不織布事業開発部に改称。この間、グループ会社の呉羽テックやユウホウなどとの共同開発を通じ新規原反の開発を強化してきた。

 このほど自動車用吸音材向けに販売してきたサウンドブロックを改良した同ネオをラインアップした。スパンボンドと別の不織布を貼り合わせた積層構造をしており、「サウンドブロックの半分の厚さで同じ吸音性を発揮する高性能」(田中茂樹不織布事業開発部長)が特徴。新型コロナ禍でユーザー回りができないため、ウェブ展を通じ情報発信を続けている。

 エアリアは抗ウイルス性能を発揮するポリマーを原反表面に反応固着させて開発した。産業資材や工業資材向けに投入。防護衣料向けの開発にも取り組んでいる。

 重金属イオン吸着シート「コスモフレッシュナノ」では、今年1月から京都大学との共同研究に乗り出しており、土木向けの施工・設計マニュアルを作成し、今後の普及・浸透につなげる。コスモフレッシュナノは土木工事の際に発生した残土から流出する有害な重金属イオンなどを含む水を吸着し土壌汚染を防止する。

 このほか、「いくつか新しい芽が生まれつつある」と言い、水平連携の成果ともいえる第3、第4の新素材開発を急ぎ事業拡大を目指す。