特集 小学生服(4)/コロナ禍で高まるニーズに対応/素材メーカー/2021年入学商戦に向けて

2021年02月17日 (水曜日)

〈オゴー産業/目先を変えた企画を強化〉

 オゴー産業(岡山県倉敷市)は、新型コロナウイルスの影響が広がる中でも、2021年入学商戦に向けた小学生服の販売が前年並みで推移する。片山一昌取締役は「併売(メーカーが学校指定の制服を販売店で競合し販売すること)に加え、学校の統合関連の案件を確保できている」と話す。

 今後の拡販に向けて、他社とのコラボレーションなど目先を変えた商品を投入している。最近では、安心安全を軸にした小学生服「プレセーブ」の再構築を検討している。

 同商品はセコムとのコラボレーションで開発し05年に発売。GPS機能を持つ端末「ココセコム」で児童の所在を確認できるもので、万が一の時は児童が専用ポケット内の端末のボタンを押せば警備員が現場へ急行する。

 新企画も安心安全を軸とし、複数回受賞している「キッズデザイン賞」の応募も視野に新たな着眼点で研究。独自の切り口で生地や企画を見直し、「ほかのアイテムとの組み合わせ含めて訴求効果を発揮したい」考えだ。  一方、文具製造卸サクラクレパス(大阪市)とのコラボレーション商品は、昨年春から店頭販売を始めた第1弾の体育着を拡販。「クーピー」「クレパス」などのロゴが入った体育着やハンカチ、ソックスなどを扱っており、ギフトボックスの提案なども進めている。

 第2弾は、「学校が休みの日に使える」一般衣料を検討。アイテムはポロシャツやリュック、マスクなどで、学生衣料以外の販売店など新たな販路を想定する。

 最近は個人向けネット通販サイトも開発中。商品カテゴリーごとに分類して販売を開始する予定だ。

〈小学生服導入の契機を作る/ニッケ〉

 ニッケは小学生服のさらなる普及に向けた取り組みを加速させる。小学生服に適した素材開発・提案を進めると同時に、ニッケ教育研究所とも協力しながら、小学生における制服の機能などを紹介することで小学生服導入の機運を高めることに取り組む。

 現在、日本では少子化を背景に公立小中一貫校開設の動きが全国的に一段と強まった。小中一貫校の場合、小中接続のために小学生にも制服が導入されるケースが多いことから、引き続き重点的にアプローチを進める。

 小学生の活動に適した素材として、特に耐久性と家庭洗濯可能なウオッシャブル機能を重視した開発・提案を進める。さらにニット生地の活用にも取り組む。アパレルへの生地販売だけでなく、商社と連携して縫製品での供給も視野に入れている。

 小中一貫校の開設は今後も大きな流れとして続く。それを小学生服導入への契機とするためには、改めて制服の役割や機能などについて一企業の利害を超えて発信することも重要。その一環として同社は2019年に独立性のある一般社団法人としてニッケ教育研究所を立ち上げた。

 研究所では現在、「誰も置き去りにしない」を基本理念に教育に関するさまざまな情報発信や啓発活動を行っているが、その一つに学校制服の効用を科学的に解明することがある。

 研究所とも協力しながら、研究成果を発信することで小学生服導入のきっかけづくりに重点的に取り組む。

〈合繊の優位性打ち出す/東レ〉

 東レは小学生服に向けて合成繊維の優位性を打ち出すことで、さらなる普及を目指す。アパレルと連携しながら合繊素材にさまざまな機能も付与することで小学生服のニーズに応え、需要の掘り起こしを進める。

 同社の小学生服向け生地販売は2021年入学商戦でも好調に推移した。ここに来て公立小中一貫校の開設が増加し、制服を採用する学校も増えていることから需要自体が拡大している。同社が販売する生地はポリエステル使いが中心だが、小学生服用途では耐久性や家庭洗濯への対応などの面で合繊素材の優位性が発揮できている。

 引き続き合繊の強みを打ち出しながら、小学生服素材の提案に取り組む。小中一貫校ではブレザータイプの制服が採用されるケースが多いことから、ポリエステル100%のブレザー地などに機能加工を応用する。例えば新型コロナウイルス禍で注目が高まった抗ウイルス加工を付与した生地の開発・提案に力を入れる。活動的な小学生が着用することで汚れやすい小学生服に向けて防汚加工の提案にも取り組む。

 こうした取り組みを学生服アパレルとも連携して推進する。新型コロナ禍で対面での提案が難しくなっていることから、オンラインを活用した提案にも取り組む。昨年はウェブ展示会も実施した。今後はウェブを活用したPR活動も検討しており、小学生服の普及に向けたユニフォーム業界全体での取り組みにも積極的に貢献したいとしている。