ユニチカ 不織布事業部/独自原反のラインアップが充実/コロナ後の成長戦略を策定

2021年02月25日 (木曜日)

 ユニチカ不織布事業部は2021年度、高機能を特徴とする独自素材の拡販を計画するとともに、アフターコロナを見据えた成長戦略策定に取り組む。市場は「新型コロナウイルス禍以前の状態には戻らない」(吉村哲也上席執行役員機能繊維事業副本部長兼不織布事業部長)との危機感を強めており、このほど立ち上げたアメーバ的な組織の活動を通じ、コロナ後も成長路線を維持するための戦略策定を急ぐ。

 主力のスパンボンドでは、新型コロナ禍で自動車関連や建材向けの販売を大きく落とす一方、ガウンのような特需向けでスパンボンド、スパンレースを拡販。しかし、トータルすると20年度は「減収にとどまる」と見通している。

 コロナ後の市場縮小を見据え、再び不織布事業を成長路線へと回帰させるため、プロジェクト的な取り組みをスタートさせている。

 「世代を問わず事業部内の精鋭を集めた」アメーバのような組織を編成し将来展望を検討。それぞれの市場から求められるニーズを精査した上でアフターコロナをにらんだ成長戦略に反映させる。

 20年度は機能性を付与した独自素材の販売が幾つか滑り出している。湿潤養生シート「アクアパック」を使えばコンクリートの品質を向上させることや作業性に優れている点が浸透し、ゼネコンからの引き合いが増えていると言う。いずれは輸出市場にも乗り出していく。

 「世界一太い糸で商品化した」という「ディラ」がフィルター向けで、抗ウイルス、抗菌、防ダニといった六つの機能性を持たせた「ユニダイヤ」がさまざまな用途で使われ出したとしている。

 1月のオートモーティブワールドにはプラスチックのような硬い板状のスパンボンド「マリックスAX」シリーズを出展。各種モビリティー向けの外装部材、防災グッズなどの用途を掘り起こす。

 コットンスパンレース「コットエース」はインバウンド需要の激減、外出自粛の影響などで20年度は苦戦に転じた。

 21年度、両用途は厳しいまま推移するとみているが、一方で生活資材を中心に新しい企画の話が進んでいるため、21年度は「最低でも前年並みの販売量確保を目指す」。