コロナ後見据え成長戦略 メーカー系商社のいま(5)/東レインターナショナル/一貫型ビジネスを強化

2021年03月12日 (金曜日)

 東レインターナショナルは、糸わた・テキスタイル・縫製までの一貫型ビジネスを強化する。衣料品の在庫問題などを解決し、かつ激しさを増す競争を勝ち抜くには生産の高度化が不可欠と捉えているためだ。施策の一つとして自社縫製工場を立ち上げる計画など、一貫型を柱に繊維事業の拡大を図る。

 東レグループの商社である同社は、素材に立脚したビジネスで存在感を発揮してきた。世界23カ国・地域に拠点を持ち、グローバルな展開力でも強みを示す。主力の繊維で培ってきたノウハウやビジネスモデルは他の事業でも生かせるようになっており、繊維事業の高度化を全体の成長の原動力にする。

 繊維事業では素材を起点とする縫製品までの一貫型ビジネスの構築をポイントとした。一貫型のビジネスは以前から取り組んでいる施策であり、成功していると言える。このビジネスモデルをより幅広く生かすことによって、社会的な問題となっている衣料品の在庫や廃棄ロスを解決に導いていく。

 その一環としてさまざまな施策を進める。生産地については中国を維持しながら、ベトナムやバングラデシュ、エチオピア、インドネシアなどを強化する。これまで国内に置いていた縫製オペレーションの一部ヘッドクオーター機能を2020年4月に香港に移したが、順調に推移しており、一層の機能強化を図る。

 現状、縫製については協力工場を活用しているが、QR対応や商品開発、CSRの観点から自前の工場を持つことが必要とし、進行中の中期経営課題の最終となる22年度には具体化したい考えだ。ベトナムでの立ち上げを視野に入れながら計画を進める。織物を使った高機能品の生産を検討している。

 販売面では、高度化が進んでいる中国市場にも重点を置く。内陸部も発展に向かい、全体の成長力は十分にあるとみる。グループの東麗国際貿易〈中国〉の機能を活用する。そのほかベトナムやインドネシアを中心とするASEAN地域、インド市場にも目を向ける。インドは樹脂やケミカル、フィルムの展開を進め、中国に次ぐ主要市場に育てる。

 電子商取引(EC)ビジネスの拡大も課題に挙げる。消費者とつながることで情報を集め、商品開発に生かす。消費者にネットで直販するD2Cやクラウドファンディングでは、昨年夏に高耐候アウトドアウエア「TORAIN」(トレイン)、今年2月には「呼吸がしやすいマスク」でチャレンジした。

 サステイナビリティーでは、東レ本体のリサイクル繊維ブランド「&+」(アンドプラス)との連携を深める。衣料品だけでなく、インテリアや寝具分野にも積極提案する。新型コロナウイルス禍で注目が集まった防護服の展開にも力を入れる。