東レ 22春夏婦人服地/シルキーな「キナリ」打ち出す/カジュアル狙いも充実

2021年03月16日 (火曜日)

 東レは22春夏向けの婦人服地で、シルキー調「kinari」(キナリ)をイチ押し素材として打ち出すとともに、巣ごもり需要の増大で強まるニット志向に対応していくため、「フェミニンな素材をカジュアルに落とし込む」(石井慎二婦人・紳士衣料事業部長)ための開発、企画提案に力を入れる。

 同社によると、かねて婦人服のトレンドがカジュアルからフェミニンの方向へ向かうとみられていたものの、新型コロナウイルス禍で様相は一変。

 外出自粛の影響でお出掛け着向けのフェミニンな素材は売れず、巣ごもり需要にマッチしたニット志向が強まっているのが最近の状況と言う。

 22春夏では、「ここまで凝った作りのシルキー素材は他にない」と位置付けるキナリを前面に婦人服地商戦に臨んでいる。キナリでは、極薄の天竺などニットによるモノ作りも強化しており、シルクとは異なるイージーケア性、ストレッチ性などを訴求し拡販を計画する。

 「シルック」シリーズのバリエーションを重点的に投入し、外出自粛の反動でニーズが回復すると見通すフェミニン素材に対する引き合いを取り込んでいく。

 好調な販売が続く麻調「リランチェ」や紫外線遮蔽(しゃへい)「ボディシェル」、スパンデックス混のストレッチ「フラロッサ」でも商品ラインの拡充を進めている。

 一方でカジュアル狙いの商品群の販促にも力を入れており、和紙のような風合いと機能性とを両立させた新素材「カミフ」の販売を22春夏からスタートさせる。

 ドレスシャツ向けの新素材開発を急いでおり、ニットによるハリ感のあるドレスシャツ地を近々、完成させ、巣ごもり需要を掘り起こす。

 新型コロナ禍の影響でこの間、リアル展の開催を見送ってきたが、5月か6月に小規模な内見会を開催すべくプロモート素材群の作り込みに取り組んでいる。