マレーシア東レグループ/メディカル用途など拡大/グループ連携で生産最適化

2021年03月22日 (月曜日)

 ポリエステル・綿混紡織加工のペンファブリック(PAB)、ポリエステル短繊維製造のペンファイバー(PFR)などで構成するマレーシア東レグループは、新型コロナウイルス禍による繊維製品の需要構造の変化に対応するためポートフォリオ改革に取り組む。メディカルウエアなど新規用途拡大に力を入れる。

 新型コロナ禍で繊維製品の需要構造自体が変わった。影響が大きいのがドレスシャツなどビジネスウエア関連。在宅勤務の普及などで世界的にスーツ・ドレスシャツの需要が大幅に減退している。

 2020年度(21年3月期)はPABも主力商品であるシャツ地の受注が大幅に減退した。在マレーシア国東レ代表であるトーレ・インダストリーズ〈マレーシア〉のテー・ホック・スーン社長は「ビジネスシーンのカジュアル化も含めてライフスタイルの変化に起因するものだけに、需要回復には相当な時間を要する」と厳しい見方を示す。

 このため20年度はメディカル用途など新規用途開拓に取り組んだ。マレーシア保健省の調達の受注に成功したほか、シンガポールのチャンギ国際空港の職員用防護衣にも採用されるなど成果が出ている。需要が比較的安定しているユニフォーム地にも力を入れ、欧米向けや日本向けで販売量を拡大した。

 21年度も引き続きメディカル用途とユニフォーム用途に力を入れる。特にメディカル用途はラミネート設備を保有する強みを生かし、防護性の国際的な規格である米国医療機器振興協会(AAMI)規格のレベル3を確保した生地開発を進める。オンライン提案システムの導入などデジタル技術で企業を変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める。

 PFRも20年度は前半に新型コロナ禍で縫製糸向けなど汎用品は苦戦。このためスポーツ用途などの開拓を進めた。再生ポリエステル繊維「&+」(アンドプラス)短繊維も順調に拡大した。現在は新型コロナ禍前の90%水準まで回復した。21年度も引き続き特殊ポリマーなどを活用し、最終製品企画にコミットした差別化原綿の開発・提案に取り組む。東南アジアでの繊維製品サプライチェーンに参画し、パートナーと連携した事業運営を進める。

 PFRの差別化原綿をPABが活用するほか、東南アジアの東レグループ各社との連携も強化していく。PABは昨年6月に紡績工程を閉鎖した。厚地用生機・糸はタイのトーレ・テキスタイルズ〈タイランド〉、薄地用生機・糸はインドネシアのイースタンテックスからの調達を増やし、インドネシアのセンチュリー・テキスタイル・インダストリーとは相互に委託生産や調達を拡大するなど生産体制の最適化を進める。