豊島、アダストリア/全ての人にファッション提案/協業でユーザー起点の服作り

2021年04月08日 (木曜日)

 豊島とアダストリアは、体に障害がある人や病院着を使用する機会が多い人に向けてファッションを提案する協業事業を本格的に開始する。豊島の3DCGデザイン技術「バーチャル・クロージング」を活用し、着やすさとデザイン性を両立させた衣料を製作する。現在、アダストリアの社内モニターの意見を取り入れながら試作を重ねており、6月ごろまでにはアダストリアグループの公式ウェブストアで販売を始める予定。

 協業事業「プレイ・ファッション! フォー・オール」は、アダストリアの社内事業提案プロジェクトで採用されたインクルーシブファッションサービス。インクルーシブファッションとは、障害の有無や年齢、ジェンダーに関わらず、全ての人を包摂しようとするファッションを言う。同事業も「ファッションをあきらめさせない!」をコンセプトに掲げ、課題を持ったユーザーを起点とする服作りを目指す。

 アダストリアグループでは、約200人の障害がある従業員が、特例子会社「アダストリア・ゼネラルサポート」(AGS)に勤務している。今回の協業では、同社の従業員3人が商品企画に参加し、3DCGを使った服作りを行う際のモニターを務めている。

 モニターからは「手動の車椅子に乗っていると、袖が車輪に触れて汚れる」「入院中でも華やかなパジャマを着ていたい」など、生活から出てくる服への不満点を抽出し、開発・製作に生かした。完成した試作品を着用したモニターは自らその様子を動画撮影し、着用シーンを見せながら課題をさらに指摘する。

 機能面のニーズにきめ細かく対応する場合でも、3D技術の活用でサンプルの製作を最小限に抑えられるため、サステイナブルな服作りも実現できる。豊島は、要望に応じた機能性を持つ生地の選定でもサポートする。

 試作も発売を見据えた段階に入っており、アダストリアグループの販売サイト「ドットエスティ」で商品を取り扱う計画を立てている。クラウドファンディングを活用して商品の認知度向上を図ることも検討する。