東レ エアバッグ事業/21年度は2桁%の増販/内外全拠点がフル操業に

2021年04月19日 (月曜日)

 東レはエアバッグ用ナイロン66事業で、2021年度は「2桁%の増産・増販」(倉本将秀産業資材事業部長)を計画する。20年度の下半期以降、国内外の生産拠点を全てフル操業に転換しており、グローバルに構える適地生産・販売体制を駆使し、エアバッグ事業を再び成長軌道へと回復させる。

 新型コロナ禍で20年度、東レは上半期に苦戦を強いられたものの、自動車業界の復調に伴い下半期以降、業績は回復基調をたどり国内外に展開する原糸、基布、縫製の各拠点を全てフル操業に転換していると言う。

 市況は回復に転じたものの、北米のナイロン66の原料メーカーが寒波の影響でフォースマジュール(不可抗力)を表明。ナイロン66原料を充分に調達できていないため、現在は「作りたくても作れない状況」に見舞われている。

 東レはこの間、海外を中心に原糸生産、織布、縫製で大型投資を継続し、グローバルに適地生産・適地販売ができる体制を構築してきた。

 今後も各拠点からの営業活動を強化し拡販を継続するとともに、縫製を傘下に納めた効果を主に次世代エアバッグの開発において引き出したい考えだ。

 スウェーデンのアルバ社をM&A(企業の合併・買収)することでポルトガルとチュニジアの縫製工場を傘下に加えた。縫製のノウハウを習得することで基布の欠点を減らすことができたほか、使いやすい梱包資材に変えたり、リターナブルにしたりといった取り組みを進めている。

 大型投資は一段落したとしており、この次は原糸生産・織布の一貫体制でかなりの競争力を持ち、北米という巨大マーケットに対峙する「メキシコを増やすことになる」と見通している。