旭化成ラムース事業/新設備で垂直的フル操業計画/中計目標を上方修正

2021年06月01日 (火曜日)

 旭化成は人工皮革ラムース事業で、2021年度は前年の後半商戦から急回復に転じた主力の自動車内装材向けを伸ばす。新型コロナウイルス禍で多少の遅れを来しているものの、年産1400万平方メートルへの増設を進める新設備を来春から立ち上げ、垂直的フル操業を計画する。

 20年度は新型コロナ禍の影響で上半期に苦戦を強いられ、販売量は前年実績を多少、下回ったという。しかし、11月以降、自動車生産の回復に伴いラムース事業も巡航速度を取り戻し、年産1千万平方メートルへと増設した設備のフル操業を年末に実現した。

 主力の自動車内装材向けの販売は欧州や北米がともに順調で、米国セージ社経由の販売も20年度下半期から復調したと言う。

 スマートフォンやタブレット、モバイル端末といったコンシューマーエレクトロニクス向けの販売が好調を維持しており、「ラムース」トータルの販売で21年度は「19年度を上回る実績を確保できる」(野崎薫ラムース営業部長)との手応えを示している。

 バッグや靴向けの資材で欧州高級ブランドの開拓にも力を入れており、新型コロナ禍が収束して以降、プルミエール・ヴィジョンのような「PR効果を期待できる展示会への出展を考えたい」としている。

 旭化成グループは21年度を最終年度とする中期3カ年計画「Cs+for Tomorrow 2021」を進めている、ラムース事業では現在、見直し作業に入っており、「業績目標を上方修正する可能性が高い」とみている。

 現在、年産1400万平方メートルへの増設に取り組んでおり、新型コロナ禍の影響で新設備による量産開始は来春へと多少ずれ込むものの、「おそらく垂直的フル操業を実現できる」との手応え示す。

 再度の増設を検討し始めており、まず顧客のニーズを精査した上で、海外生産も含めて「前向きな議論を続けている」段階だ。