特集 アパレル(2)/アパレル総合21秋冬~企画&トレンド~婦人服 編

2021年06月23日 (水曜日)

〈イトキン「ジャンニ・ロ・ジュディチェ」/アウターでストーリー性〉

 イトキンが展開する婦人服「ジャンニ・ロ・ジュディチェ」は、実需に応じたアウターを投入する。軽快なライトアウターから高級感のあるコートをそろえ、一部ではアルパカを高混率で織り込んだ“アルパカトップシャギー”コートを提案。同社では「アルパカ高混率のトップ染めを採用したコート」と説明している。

 非ウールでは、キルト仕様のアウターやダンボールニット、ダウンコートを展開する。冬物最盛期にはダウンアウターを訴求する考えだ。21秋冬シーズンはウール3割、非ウール7割のコート比率になる。同シーズン全体の商品発注量は、前年の秋冬と比較し、1割減にとどめた。

 ワクチン接種が進むと予測し「10月以降は消費が上向く。購買意欲も上がるのではないか」としている。アウターに合わせるボトムスバリエーションも拡充する。

〈三陽商会「ポール・スチュアート」/MDバランスを再構築〉

 三陽商会が展開する婦人服「ポール・スチュアート」は、上質なジャケットやドレスを軸としたコレクションラインの構成比を今季は40%に高める(前年の秋冬は25%)。21春夏シーズンはカジュアルウエアを強化したが「固定客は新しいジャケットや感度の高いドレスを求めていた」として、MDバランスを再構築する。

 コレクションラインでは、上質なインポート素材を採用。裏地や芯地を極力減らし、軽く仕立てたテーラードジャケットにレトロな雰囲気のプリントドレスを合わせた。ラグランスリーブのアルパカ混コートやリバーシブル仕様のマントコートも投入する。

 同社では「今春夏の反省を含め、顧客が求める商品を具現化する。自社のメンバーシップ会員からリアルな意見を集めている」と話す。

〈ワールドグループ「デッサン」/カーディガンに期待〉

 ワールドグループで展開するライフスタイルブランド「デッサン」は、フーデッドやケーブル、編み地変化を取り入れたカーディガンを21秋冬シーズンに投入する。さらにカットジャージーメルトン素材や、インナーにキルトのベストを付属したカーディガンなど、冬まで着用できるアイテムもそろえる。

 同ブランドは、百貨店やショッピングセンターなどマルチチャネルに展開するストア業態で、婦人・紳士・子供服、ライフスタイル雑貨を提案。同社では「チェック柄の商品が人気。21秋冬はオリジナルのチェック柄を打ち出し、親子のリンクコーディネートを提案する」としている。

 家ナカ需要を見越した家族向けのリラックスウエアやライフスタイル雑貨を増やす。アパレル商材は前年の秋冬と比較し、微増となる見込み。

〈オンワード樫山「23区」/大人女性へ甘辛ミックス〉

 オンワード樫山が展開する「23区」は、秋物でパンツ、ブラウス、ライトアウターを強化する。中でも、同ブランドの強みであるパンツを「徹底訴求する」と言う。さらに昨今の新型コロナウイルス禍で「心理的な自己変革、高揚感が求められる」と分析している。

 婦人トレンドで継続するパンツは、定番商品の進化、シーズンレス、トレンド要素の全てを網羅する。パンツに合わせるブラウスでは、イタリア・カンクリーニ社の素材を使ったブラウスで、フリル、ギャザーのディテールを新たに加える。パンツとのコーディネートで甘辛ミックスを提案する考え。

 初秋のまだ暑い時期に対応可能なライトアウターは、ブルゾンカテゴリーを増やす。早期に訴求しながら、実需対応できる商品をそろえる。

〈ルック「キース」/ウールコートに強み〉

 ルックが展開する英国トラディショナルブランド「キース」は、イングランドのカントリーサイドにある“マナーハウス”から着想したアイテムを提案する。かつての貴族や地主が富の象徴として建てた家をはじめ、庭園や調度品など、同国の伝統と歴史を商品企画に反映させる。

 マナーハウスのドレスコードを取り入れたトラッドスタイルをはじめ、英国羊毛を取り入れたハウスチェックコート、ウールメルトン素材のショートコートなどを投入。強化アイテムのニットウエアでは、ロングセラーのケーブルニットや梳毛のニットカーディガン、フェアアイル柄のトップスを提案する。

 代表的なスタイリングでは、アーガイル柄のニットにスエード素材のスカートを合わせた。スエードは家庭洗濯が可能で「イージーケアは必須」としている。