豊島/廃棄食材から再生製品/東大研究所の開発技術活用

2021年06月24日 (木曜日)

 豊島は、青果物などの廃棄食材を強度の高い固形物に再生する技術を活用した商品の開発に着手した。この技術は東京大学生産技術研究所の「豊島ライフスタイル寄付研究部門」の発案が基になっている。企業が研究機関を支援し、そこで生まれた研究成果を支援企業がビジネスにつなげる取り組みを進めていく。

 同部門は2018年10月、豊島からの寄付によって設立された。ファッション業界や社会が抱える課題の解決に貢献する技術のシーズ(種)を、東大の工学系の基礎・応用研究の中から探索し、実用化や事業化への道を探る。同部門の設置期間は3年を予定し、各テーマの研究期間は半年とする。豊島の社員が参加するワークショップを行い、そこで出される意見を基にしたプロトタイプ(試作品)が製作される。

 その中から実用化、商品化に向けて動きだしたのが、同研究所の酒井雄也准教授らが開発を進めてきた技術を活用する製品。研究では、廃棄食材などの原料をフリーズドライ、粉砕した後に、100℃前後の温度で「熱圧縮成形」を施した結果、再生した固形物に高強度を持たせることに成功した。完全な植物由来でありながら、一般的なコンクリートの「曲げ強度」の4倍の強度が確認された。

 同社は社内で結成した開発チームが酒井准教授らと協議を重ね、このほど本格的な商品開発に取り組む方針を固めた。

 現時点では、インテリアやエクステリアに向けた製品の開発を検討している。コップや皿、スマートフォンケースといった生活雑貨も視野に入れる。