伊藤忠商事/SDGs関連の施策推進/各部門長が今期方針示す

2021年07月08日 (木曜日)

 既報のように伊藤忠商事繊維カンパニーは2021年度、デジタル技術の活用を推進し、各事業会社の強化に取り組む。各部門長の方針は次の通り。

〈サステ素材の拡大【ファッションアパレル部門長・中西英雄氏】〉

 マーケット・インの発想で取り組む施策として、最も身近な例に挙げられるのが、ファミリーマートとの「コンビニエンスウェア」だ。「下着はコンビニで買う」という新しい生活文化を根付かせようとするプロジェクトで、われわれが原料から製品まで一貫して携わっている。これまで好評を得ており、今後の展開にも期待が持てる。

 厳しい状況でも好調を維持しているのが、中国の合弁会社デサントチャイナのスポーツウエア。

 再生ポリエステル繊維「レニュー」やフィンランドの森林から生まれるリヨセル繊維「クウラ」などサステイナブル素材の用途拡大にも力を注ぐ。

〈海外展開の加速へ【ブランドマーケティング第一部門長・北島義典氏】〉

 三つの方針を掲げる。

 一つ目は既存ビジネスの磨き。まず国内では「ポールスミス」や「コンバース」など主力ブランドの足元を固め成長を図る。

 二つ目は海外展開の加速。「アウトドアプロダクツ」など商標権を持つカジュアル系ブランドでアジアの市場を攻める。特にアウトドアプロダクツは東南アジアにも販路を広げていく。

 三つ目は国内事業会社の強化。コロネット、ジョイックスコーポレーション、コンバースジャパンの経営に対し、部門を挙げてサポートする。人材の派遣を追加する。

 西アフリカの民族衣装用のサステイナブルな生地を使ってコンバースのシューズを作るなど、SDGs(持続可能な開発目標)に関連する取り組みにも力を入れる。

〈主要ブランドの強化【執行役員ブランドマーケティング第二部門長・武内秀人氏】〉

 「フィラ」や「レスポートサック」といった主要ブランドの強化に注力する。そのためには小売りのマインドを熟成させることが大事であり、最終的にはマーケット・インの発想につながっていく。消費者との懸け橋である自社ECの強化が急務となる。プラットフォームの活用を促進し、事業会社同士のシナジーを発揮させる。

 商社はEC販売に対して片手間になりがちだったが、各ブランドに担当者を配置し、絶えず消費者ニーズを捉えながら販売に当たる。さらに店頭販売の研修を実施し、小売りの経験を積ませる。

 キャラクター事業などの新規の取り組みも発展させていきたい。