メルテックス/紡績部門はフル生産に/21年12月期黒字浮上目指す

2021年07月15日 (木曜日)

 シキボウのインドネシア紡織加工子会社であるメルテックスの受注が糸を中心に回復している。紡績部門は現在、フル生産となった。インドネシアでの新型コロナウイルス感染拡大など不安要素は依然として残るものの、アフター・コロナに向けた準備を進めており、2021年12月期は黒字浮上を目指す。

 藤井英司社長によると「紡績部門は1月ごろから受注が回復基調となり、現在はフル生産となっている」。新型コロナ禍の影響で昨年は世界的に糸生産が停滞し、市中在庫が低水準となっていた。ここに来て中国やワクチン接種が進む欧米が徐々に経済正常化に向かうことで需要が回復しつつある。このため急激に糸の需給バランスがタイト化していることが受注回復の要因と考えられる。

 織布・加工部門はシキボウ向けが中心だが、加工量の約30%はメルテックスが独自にインドネシアで内販している。こちらは資材向けが安定しているものの、スクールシャツ地はインドネシアでもオンライン授業が増加していることで需要が減退した。このため新たな需要の掘り起こしのために「アフター・コロナに向けた開発と提案の準備を進めている」と言う。

 その一つとして、燃焼時の二酸化炭素排出量を抑制する特殊ポリエステル繊維「オフコナノ」を使った紡績糸の生産をメルテックスでも担う。トルコオーガニック綿による商品開発も進めた。「グローバル・オーガニック・テキスタイル・スタンダード」(GOTS)、「オーガニック・コンテンツ・スタンダード」(OCS)、「グローバル・リサイクルド・スタンダード」(GRS)など国際認証も取得し、環境配慮型商材の拡大を進める。

 シキボウとユニチカトレーディングの連携を生かし、ユニチカグループのインドネシア紡績会社、ユニテックスと原料の共同調達や商品の共同開発にも取り組んでいる。こうした取り組みも生かし、21年12月期には営業利益段階で黒字浮上を目指す。

 一方、懸念材料はインドネシアで新型コロナ感染が急拡大していること。現在、工業省の指導の下で感染予防対策を実施して工場稼働を維持している。政府によるワクチン接種が遅れていることから、現地業界団体が実施する職域接種プログラムにも参加し、希望する現地従業員へのワクチン接種を進める。