スタイレム瀧定大阪とソニー/多孔質活性炭で“共創”/レーヨン練り込みから商品化

2021年07月20日 (火曜日)

 スタイレム瀧定大阪はソニーとの“共創”を進展させている。2019年末にソニーが販売する多孔質活性炭「トリポーラス」の繊維素材開発をスタイレム瀧定大阪が進めて製品化に至り、Tシャツなど繊維製品の販売がスタートした。

 スタイレム瀧定大阪は今期(22年1月期)から、原料からの差別化戦略を推進することを狙いにR&D部を社長直轄組織として立ち上げた。同部署で取り扱う目玉商品の一つがトリポーラスだ。

 トリポーラスはソニーが特許を保有する多孔質活性炭。通常の活性炭に比べて穴の数が圧倒的に多く、これにより表面積が多くなるため6倍の消臭スピードが試験で確認されている。抗菌性能も高い。メディアでトリポーラスの存在を知ったスタイレム瀧定大阪が「ファイバー化ができるのではないか」と考え、ソニーにアプローチ、共創が実現した。

 トリポーラスの原料はもみ殻。もみ殻を炭化させて多孔質の活性炭を作る。もみ殻は全世界で年間1億㌧が廃棄されており、それを再利用するためサステイナブルな性質も持つ。

 ファイバー化はレーヨンへの練り込みからスタート。活性炭をレーヨンに練り込んだ糸はこれまでにもあったが、同社によると消臭効果などを数値化し、効果を実証しているのはトリポーラスぐらいだという。

 まずはTシャツやインナー、ワンマイルウエアで商品化と販売が進展中。不織布やフェルトといった資材系商品の開発も進んでおり、今後はメディカルや防災関連分野などの開拓につなげる。

 レーヨンの次のステップとして、ナイロンやポリエステルの糸にする開発も進めている。

 ソニーとの協業を同社は、単なる売買ではなく“共創”と位置付けており、今後は同商品を軸に同業他社も含めて共創の輪を広げていく方針。