繊維ニュース

特集 全国テキスタイル産地Ⅰ(3)/商社編/産地での連携を強化

2021年07月29日 (木曜日)

〈独自糸の提案を強化/蝶理〉

 蝶理の産地への糸販売量は、昨年に新型コロナウイルス禍前の20%減となったが、昨年夏を底に回復し、4月には10%減にまで戻っている。今後は高伸縮糸「テックスブリッド」などの機能糸や環境配慮型素材「エコブルー」を軸に、独自糸の提案をさらに強める。

 エコブルーは昨年秋にリブランディングし、環境配慮型素材の総合ブランドとした。エコブルーを冠ブランドとし、再生ポリエステルの「ファースト」、リユース・リサイクルの「ループ」、漁網からの再生ナイロン「オーシャン」、植物由来の「アース」の4シリーズを設けている。

 アースでは植物由来ナイロンの中量産が始まり、オーシャンでは漁網からの再生ナイロンの品ぞろえが広がっている。ループでは北陸産地で出る繊維廃棄物を回収し、電気自動車向けの材料や河川補強などに再利用する提案が始まっている。

 6月に連結子会社としたスミテックス・インターナショナルとのシナジーも重視する。テキスタイル産地との取り組みでは、合繊を得意とする蝶理と綿糸など天然繊維を得意とするスミテックスが協業することで幅を広げる。蝶理では得意とする合繊に加え、化繊の取り扱いも拡充していく。

 産地企業の生地をアパレルなどにつなげる出口づくりにも引き続き取り組む。産地の生地を海外アパレルにつなげるため、出資を含めて体制を整える。スミテックスの縫製拠点とのシナジーも追求し、北陸や和歌山などの産地で開発された特徴ある生地と独自の縫製技術を組み合わせ、付加価値の高い最終製品の開発を進める。

〈サステでモノ作り支える/豊島〉

 豊島は綿やウール、合繊などの原料を使った多種多様な糸を全国の産地に供給している。時代の流れに沿ったモノ作りに応えるべく、サステイナブルでトレーサブルな糸を数多くそろえる。今後も供給体制を維持し、付加価値の高い日本のモノ作りを支える。

 原糸部門のうち一宮本店一部は梳毛糸を中心としたウール関連のさまざまな糸を取り扱っており、主に尾州産地に向けて販売する。綿糸を扱う二部は和歌山や今治をはじめ全国の産地に糸を供給。国内でのモノ作りに素材面から貢献している。

 さまざまなサステイナブルな糸を展開するのも同社の強み。トルコ産のオーガニック綿「トゥルーコットン」は生産農場から紡績までの流れを追跡できるトレーサブルな素材だ。独占契約を結んだトルコの大手紡績グループ・ウチャクテクスティルが万全な管理体制を敷き、“生産者の顔が明確に見える”ことをうたう。

 廃棄食材を染料に活用する「フードテキスタイル」もサステイナビリティーを意識したプロジェクトだ。50種類の食材を活用し500色という豊富なカラーバリエーションがあり、糸や生地、製品で展開。豊島が一元管理しトレーサビリティーも実現。今年で7年目を迎え、ファッション衣料以外の用途にも広がりを見せる。

 ウール関連でもサステイナブルな商材は多い。「アプリクション」は高品質な反毛を原料に使用しリサイクルを訴求する。「ローバー」はニュージーランド産のノンミュールシングウールが特徴。一宮本店一部では今後、ネットを活用した産地企業との取り組みも進める方針だ。

〈エコセンサーがけん引/旭化成アドバンス〉

 旭化成アドバンスの繊維事業は、昨年度は前年比25%の減収だったが、今上半期は一昨年の5%減の水準に戻す。4~6月は、資材分野が前年の特需部分を除いて横ばいで推移するが、衣料分野は計画比20%増と順調に回復している。

 衣料分野の糸販売はジアセテートや綿糸などが好調推移する。生地は国内向けの動きが鈍いが海外がけん引。特に中国が好調で、アフガニスタン向けの民族衣装なども伸びている。縫製品は縫製地をミャンマーから中国主体に移して伸ばしている。今後は生地の強みを生かしながら縫製品事業をさらに伸ばす考えで、ベトナムやタイでの縫製能力拡大も視野に入れる。

 生地販売では、アウトドアを中心とするスポーツが国内、海外とも好調に推移する。環境配慮型素材をそろえる「エコセンサー」がけん引役の一つで、今上半期の販売量は昨年の約3倍に伸びる見通し。スポーツが先行しているが、22春夏向けからはアウター用やインナー用も拡充する。11月にはエコセンサーの総合展を開催し、海外のパフォーマンスデイズやISPOにも出展してエコセンサーを訴求する予定。

 繊維事業の回復に伴い、産地への発注量も戻している。11月か12月ごろには新型コロナウイルス禍前の水準に戻す計画だ。アウトドアを中心とするウオータージェット織機では既に12月頃のスペース取りを進めている。エアジェット織機は、裏地が当初計画に比べて上振れしていることなどを背景に回復させており、裏地のスペースを活用したアウター生地の開発も進んでいる。経編み、丸編みなども回復基調にある。読みにくいのは撚糸だが、主要取り組み先との連携を強化するとともに、アウターやスポーツなどにも用途を広げていくことで対応する。