産資・不織布通信(79)/旭化成アドバンス 繊維資材事業部/21年度も過去最高目指す/自動車関連に重点化

2021年08月23日 (月曜日)

 旭化成アドバンスの繊維資材事業部は2020年度、新型コロナウイルス禍で発生したマスクや防護服といった特需の影響もあり、売上高、営業利益ともに過去最高を更新した。

 マスク向けの不織布、耳ひも、ノーズワイヤーのセット販売が急増したほか、高密度ポリエチレン不織布「タイベック」による防護服の販売が好調だった。

 当初、建設市況の低迷でスパッタシート向けの販売が伸び悩んだ耐炎繊維「ラスタン」が後半商戦から勢いを取り戻し前年実績をクリアした。

 家電メーカーの空気清浄機(フィルター)向けに販売する立体編み物「フュージョン」も好調だった。一時期、店頭で注文を受けられないほど、フュージョン使いの空気清浄機はヒットしたという。

 21年度はコロナ関連の特需に落ち着きが見られるため、「利益が前年を上回ることはない」と見ている。しかし、自動車関連で新規商材の販売が滑り出し、これによる上乗せを見込んでおり、売上高では過去最高の更新を計画する。

 旭化成グループは21年度が中期3カ年計画の最終年度だ。旭化成アドバンスは「中計の業績目標もクリアできる」との手応えを示している。

 21年度もラスタン、フュージョン、防護服の拡販を計画するほか、新型コロナ禍で遅れ気味のエアバッグ縫製事業に力を入れる。

 ラスタンでは、オリンピック後にビルの建設工事が再開されるのに伴い、スパッタシートの販売が回復すると見込んでおり、新たに開発を進める家電や自動車向けの不織布でスペックインを急ぐ。フュージョンでは、主力のベッドパッド向けを伸ばすとともにカーシート向けの開発を強化する。

 同社は、自動車用エアバッグの縫製工場をベトナムに新設し19年度後半から操業を開始した。新型コロナ禍で当初計画よりも1年遅れとなっているが、ドライバー側だけでなく他の部位に使われるエアバッグへも取り扱い品目を広げ、早期に年産250万個体制の構築を目指す。

 アジア市場では、自動車生産が年率20%で伸びると見られており、エアバッグ市場はそれを上回る年率40%前後で拡大を続けるという。

 現在、22年度からスタートさせる中期計画の策定作業に取り組んでおり、次期中計では自動車関連資材やエアバッグ事業に重点化し成長路線を維持したい考えだ。