クラレクラフレックス/メルトブローほぼフル稼働に/用途開拓に重点化

2021年08月30日 (月曜日)

 クラレクラフレックスは2021年度(21年12月期)、昨年ほどの勢いは感じられないもののマスク向け原反の供給責任をしっかり果たしていくとともに、新規原反の開発を通じ用途開拓に重点的に取り組み、前年を上回る業績の確保を目指す。

 20年度は新型コロナウイルス禍で「不織布事業の中身ががらっと変わった」(松尾信次社長)と言う。マスクや除菌シート向けの販売が急増する一方、「カウンタークロス」やコスメティック関連で苦戦を強いられ、トータルの販売量は前年実績を下回った。

 メルトブロー不織布で年産2700トンへの増設を終えており、昨年年末に新設備での量産を開始。既に「ほぼフル稼働状態」に引き上げており、今後は高採算品への品種転換に取り組み収益重視の運営を徹底する。

 外出制限や店舗の営業時間短縮、休業などでカウンタークロスの販売に回復の兆しが見えてこないため、市況回復のタイミングを見据え「反転に向けてしっかり準備したい」考えだ。

 これまでメルトブロー不織布を西条工場(愛媛県西条市)で生産してきたが、今回の設備投資では岡山工場に新系列を導入した。岡山工場で生産するスパンレース不織布やカウンタークロスなどとの複合品開発を改めて推進し、新規用途・アイテムの創出を急ぐ。

 クラレグループは22年から中期5カ年計画に取り掛かる。クラレクラフレックスは中期計画で環境を切り口とする経営目標を掲げ、環境配慮型素材の開発にも取り組んでいく。