東レ 産業資材事業部 エアバッグ事業/過去最高の販売見込む/メキシコ、チュニジアで増産投資

2021年08月31日 (火曜日)

 東レの産業資材事業部は2021年度、エアバッグ用ナイロン66事業で「過去最高の販売量を達成できる」(倉本将秀産業資材事業部長)との手応えを示している。既に新型コロナウイルス禍による苦戦から業績を回復させており、国内外の全拠点でフル操業を維持。メキシコで織機の増設を進めるなど同事業における拡大戦略を加速する。

 20年度は新型コロナ禍で上半期が大苦戦となったものの、下半期から業績を急回復させた。しかし、米国原料メーカーのフォースマジュール(不可抗力)表明に伴い、原料調達に支障を来しているほか、コンテナ不足によって航空便での納品が増えているため、これによるコストアップで収益悪化に見舞われていると言う。

 今後もグローバルな市場拡大を見込み、それに合わせた拡大戦略を推進する。下半期以降の受注が順調に推移するメキシコで織機を10台増設し織布能力を15%引き上げる増産投資を進めている。裁断・縫製のチュニジアでも拡張投資が進行中。

 一方、コンパクト化、軽量化に対する要望が強く、原糸、織布、縫製でニーズに対応する開発を改めて強化している。最近になって強まっているサステイナブルへのニーズを充足するための対策も検討し始めた。

〈一般産資を19年度の90%水準に〉

 一般産業資材では、販売量を19年度の90%水準まで回復させる予算で21年度に臨んでいる。自動車関連のシートベルト、ゴム補強材は「コロナ前の状態に戻った」と言い、建築や水産資材など未だ低調が続く用途へのてこ入れを強化する。

 同社のファイバー・産業資材事業部門は一歩、前の工程に踏み込み新規商流を掘り起こすための“プロジェクトI(イノベーション)”に取り組んでいる。

 産業資材事業部は顧客とともに顧客の売り先まで赴き、共同で企画提案する取り組みを進めている。例えば、インテリアメーカーとともにマンション建築を進める不動産メーカーにアプローチするようなビジネススタイルを事業部内に浸透させ、新規販路の開拓を徹底する。