東洋紡 エアバッグ用ナイロン66事業/来年1~3月からタイ新工場稼働/環境対応を重視

2021年09月03日 (金曜日)

 東洋紡はエアバッグ用ナイロン66事業で、タイに年産1万1千㌧の新工場建設を進めている。2022年の第1四半期から稼働させる計画で、「可能な限り早期フル稼働を目指す」との意欲を示している。

 東洋紡はエアバッグ用ナイロン66を海外生産するため、インドラマ・ポリエステル・インダストリーズ(IPI、同)との折半出資で合弁会社・東洋紡インドラマ・アドバンスト・ファイバーズを設立した。

 現在はコスト高の原糸を外部企業から調達しているため利益面で苦戦を強いられているものの、22年から量産に着手し、23年度からエアバッグ事業の黒字浮上を見込んでいる。

 北米原料メーカーがフォースマジュール(不可抗力)を表明したことによる原料調達への影響は軽微としているものの、半導体不足による自動車減産の影響を注視している。

 減産でナイロン66の需給は現在、バランスしているものの下半期以降、各社が挽回生産してくることによる需給バランスのタイト化に懸念を強めている。

 エアバッグ需要の今後について、自動車生産の増大、装着義務化の進展、装着部位の拡大によって3%前後の伸びを見込んでいる。

 アジアに限ってみれば、インドでの助手席需要の増大、中国におけるカーテンエアバッグの義務化などで5~6%の伸びが期待できる。

 21年度は上半期、半導体不足や新型コロナウイルス禍の影響を受けているものの、下半期の挽回で通期では「当初予算を多少、上回る」と見通している。歩行者用エアバッグなどでスペックインを目指したアプローチに取り組んでいる。

 「エアバッグ事業でも環境対応が欠かせない」として生産時のGHG(温室効果ガス)排出量削減を目指し、エアバッグのリサイクル、リサイクルしやすいエアバッグ基布の開発に取り組んでいく。