やまなしコンソーシアム/P2Gシステム大型化へ/電解質膜で東レが参画

2021年09月03日 (金曜日)

 山梨県、東レ、東京電力ホールディングス(HD)などの8者が結成したコンソーシアム「やまなし・ハイドロジェン・エネルギー・ソサエティ」は大規模P2Gシステムによるエネルギー需要転換・利用技術開発に係る事業を1日からスタートさせた(一部既報)。

 山梨県の長崎幸太郎知事は1日の会見で、「“山梨から世界へ、世界から山梨へ”をスローガンに掲げ、水素利用の促進を本プロジェクトでリードしたい」と述べた。

 同システムは再生可能エネルギー等由来の電力を活用し、水の電気分解から水素を製造する技術。カーボンニュートラル社会の実現に向け、再生可能エネルギーの導入拡大と温室効果ガスを削減する手段として世界的に期待されている。

 山梨県、東レ、東電HDはNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託事業として同システムを甲府市の米倉山電力貯蔵技術研究サイトに構築し、今年6月から試運転を始めている。

 今回はこの間の成果を生かし、25年度までの5年間で約140億円の事業規模を見込んでおり、再生可能エネルギーを安全、安心に水素エネルギーに転換できる固体高分子形水電解を使い、水電解装置の大型化、モジュール化に向けた設備設計、各種試験を実施する。

 複数箇所でモジュール化した同システムを16メガワット規模で導入し、大規模需要家におけるボイラーなどによる直接的な化石燃料の利用を水素エネルギーに転換する実証を行う。

 東レは炭化水素系電解質膜を実装した高効率大型水電解装置を実現し、グリーン水素サプライチェーンの構築を通じ、「水素社会、カーボンニュートラル社会の実現に貢献したい」考えだ。