伊藤忠IPA/越中心に内販拡大策進展/環境配慮素材活用して

2021年09月07日 (火曜日)

 伊藤忠テキスタイル・プロミネント〈アジア〉(IPA)は、ベトナムを軸に環境配慮素材を活用した内販拡大に臨み、成果を上げている。今後もベトナム繊維公団ビナテックスなどとの連携を強めつつ、内販拡大戦略を推進する。

 森田洋アジア・大洋州繊維グループ長兼IPA社長によると同社の足元の商況は新型コロナウイルス禍で厳しい。ベトナムでは発注先の工場の半分強が稼働停止に追い込まれている。6月までは脱・中国を進める欧米ブランドからの受注が急拡大するなど順調だったが、7月以降は工場の稼働停止に伴う出荷遅れが続いている。

 ただ、「10月からの下半期で反転したい」と意気を高めるとともに、自信も示す。ベトナム国内でのワクチン接種が進めば工場が再稼働して欧米からの受注復活がほぼ確実視されるためだ。加えて、「かなり進展してきた」内販事業でも反動増が期待できる。

 伊藤忠商事は2年前に、生地や服飾資材、最終製品の開発や現地調達、輸出入を強化する目的でベトナム法人、プロミネント〈ベトナム〉ホーチミン事務所内に「アセアンR&Dセンター」を設置した。同センターの目下の重点戦略は環境配慮型素材の開発、活用。それを使った製品を同国小売り向けに拡販する。再生ポリエステル製造技術を持つ日本環境設計への出資、フィンランドでのセルロース繊維合弁工場の設立、米ライクラ社への出資、タイ・クラボウへの出資などで整えてきた豊富な環境配慮型素材を活用した製品開発が進む。

 提携するビナテックスもSDGs(持続可能な開発目標)への関心を強めており、「ビナテックスとの連携で構築してきたバリューチェーンに伊藤忠グループの環境配慮型素材を掛け合わせていく」ことで商機を作るイメージだ。

 こうした環境配慮型素材の充実も手伝ってASEAN各国で内販が進展中。タイや香港で「軌道に乗っている」ほか、大きな成長を見込むのがベトナムだ。

 ベトナムでは数年前から専任のデザイナーやマーケティングスタッフを配し、内販拡大の可能性を探ってきた。現地ブランドへの出資も行い、ノウハウを蓄積。その成果が表れ、複数の現地大手小売りへの販売が拡大している。今後も「ASEANを面で捉えながら」、環境配慮型素材の活用、提携先との連携強化、原料から糸、生地、製品までのバリューチェーンを強みにさらなる内販拡大に臨む。