シキボウ・メルテックス/環境配慮糸の提案を強化/海外企業へ販売も視野

2021年09月09日 (木曜日)

 シキボウのインドネシア紡織加工会社、メルテックス(東ジャワ州モジョケルト)が地球環境に配慮した糸の提案を強化する。

 世界的に繊維産業で持続可能な環境を考えた商材への関心が高まっていることを受け、再生ポリエステル混糸、トルコ産オーガニックコットン糸、二酸化炭素の排出量減少につながる独自糸の生産、販売を始める。

 まずは東南アジアに織布や縫製拠点を展開する日系企業をターゲットにする。国際的に通用する環境認証も取得し、ゆくゆくは現地や第三国の企業にも販路を広げる計画。

 メルテックスで来期中(2022年12月期)にも燃焼時の二酸化炭素の排出量を少なくする特殊ポリエステル繊維「オフコナノ」を使った紡績糸の量産が可能になる予定。

 環境関連の認証ではオーガニック繊維の認証「グローバル・オーガニック・テキスタイル・スタンダード」(GOTS)、「オーガニック・コンテント・スタンダード」(OCS)、再生ポリエステルでは適切、適正な原料、生産工程を経たリサイクル繊維製品の認証「グローバル・リサイクルド・スタンダード」(GRS)の認証を取得済み。

 メルテックスは近年、中華系や現地の紡績企業との価格競争の激化を受けて汎用素材からの脱却を進めると同時に高付加価値素材の打ち出しを強めてきた。紡績部門ではポリエステル・綿混糸が主力だが、生産する糸の8割近くが精紡交撚糸、複合糸、特殊混紡糸といった技術とノウハウの必要な糸だ。

 シキボウ江南、ベトナム事務所、シキボウグループのタイ繊維商社、J.P.ボスコなどと情報共有を密にして東南アジアに製造拠点を展開する日系企業に販路を探す。

 今年4月にシキボウとユニチカトレーディングとの間で企業間連携がスタートしたことを受け、両社のインドネシア法人でも結び付きを強める。メルテックスはインドネシアのユニチカグループの紡績、ユニテックス、繊維商社のユニチカトレーディングインドネシアと連携し原料調達、新素材の開発、さらに相互の糸の販売でも協力する。