東洋紡インドネシア/化成品受注が順調に回復/繊維は引き続き停滞

2021年09月10日 (金曜日)

 東洋紡インドネシアの化成品事業の受注が回復している。樹脂の加工・販売を手掛ける事業で、とりわけ自動車関連の受注の戻りが鮮明だ。現地で自動車を購買する際にかかる奢侈(しゃし)税の免税措置が延長されたことによる影響が大きいようだ。

 インドネシア国内の自動車生産台数は現在2019年比で80%ほど。だが21年は最終的に20年比150%になる見込み。インドネシアで人気の日本車向けの樹脂パーツを生産する同社の化成品事業は引き続き堅調な回復が続きそうだ。

 衣料繊維事業はスポーツ衣料、ニットビジネスシャツ、ユニフォームなどカテゴリーごとに商況が異なるが、全体では前年より若干低調な受注量となっている。日本向けの衣料品OEMは依然として厳しい。三国間貿易や既存の商材の動きはほぼ横ばい。

 業容拡大につながる新規の商談の機会が新型コロナウイルス禍で取れない状況が続く。インドネシアで7月に発令された緊急行動制限でショッピングモールのほとんどが休業したことも在庫過多の要因となり需要が生まれにくい環境を作っている。

 対日向けの今後の戦略としては、同社の強みであるZシャツに代表されるニット製品を生地から縫製まで一貫管理することで高品質を維持しつつコスト上昇を抑制し益率の改善を図る。

 同社は「現地での緊急行動制限が続いているため今後も経済の低迷が長引き、経済の回復にはまだ時間がかかる」とする一方、「インドネシアは人口ボーナス期が続き中高所得者層は着実に増えている。市場としてのポテンシャルは高く、早期にコロナが収束することを期待する」とコメントする。